i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

人の振り見て我が振り直せ

部屋の掃除をしていると、本棚の前で一冊のきれいなノートを見つけた。

何のノートだろうとパラっと開き、ふっと笑ってしまった。


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フランスでは、今のこの時期は年度末である。6月末前後に各教育機関で三学期が終わり、9月の新学期スタートまで長い夏休みとなるのだ。そのため年度末のスペシャルイベント的なものがこの今の時期多発する。日々の出来事を面白おかしく暴露していた私としては、そんなネタだらけになりそうなイベント期間を嬉々としておくるはずだったのだが、それらのスペシャルイベントに伴い、連日頼まれ事が舞い込んできたおかげで日記どころか日々の生活すらぎりぎりでクリアする羽目になったのだ。

5月中旬、抱えていた書類手続きのほかに把握していた予定は、娘のバイオリンコンクールの受賞式と受賞者演奏会、子供たちの音楽教室でのソロコンサートと伴奏合わせとリハーサルだけであった。アルバイトもこの2週間入っておらず余裕綽々かと思っていた私は、娘の学校の文化行事の助っ人を頼まれて『私にできることでしたら』と軽く引き受けてしまったのだ。軽い気持ちで小さな用事を引き受けたつもりだったのだが、予想を大幅に超えてどんどんどんどん頼まれごとが増えていき、終わらない用事に連日バタバタと動く羽目になった。さらにそこにタイミング悪く我が家の天井亀裂修復案件が大家さんと業者さん間でトラブり、間に入っていたのだが、なかなかうまくいかず、10年来の付き合いの大家さんに『気に入らないなら出て行ってくれてかまわない。』とまで言われ、結局、この数ヶ月たらい回しにされながら進めてきた天井修復計画をもう一度白紙にすることになり、ここしばらくの私の労力を返してくれと言いたくなるほど疲弊しきっていた。

しかし、予想外の事に疲弊しきっていようが大変なのは私だけではなく、同じく年度末イベントに備える我が子達も超多忙スケジュールとなっていたのだ。連日の練習にリハーサル、楽器のトラブル………母&娘&息子の生活はすさんだ。

 

部屋の掃除に手が回らなくなり、さらに毎日の洗濯ができなくなり、夕食も極力手を向いた。

そんな、ざるそば、ピザ、ラーメン、が夕食に続いたある日、このままじゃ栄養的にまずいと思った私は苦し紛れに野菜多めのパスタにでもしようと考え、パスタを作ったのだ。

家族や友人知人の間でも、わりとお料理上手で通っていた私はそんな自分の腕前に慢心していたのか、何も考えずに作りすぎた。

『ごはんできたよー!』

『はーい。いただきまーす!』

『いただきます。』『いただきます。』

娘&息子&私は揃ってフォークでパスタを口元へ運んだ。

娘『!?』

息子『……。』

ママ『!!?なにこれっ!!!』

 「いったいこれは何味?」「何がどうしてこうなる?」「何これ?」と自問自答を止めれなくなるような、よくわからない味のパスタが目の前にあった。おそらく娘&息子も『まっず……』と、心の中でつぶやいていただろう。全員パスタを口に運ぶのをやめ、動きがスロー再生のようになった。

 

マ『ストップ。ごめん。どう考えても、これ失敗やわ。食べれる味じゃない…しかも塩が異常に多い…しょっぱい…なんか身体に悪い味してる…』

息子『……。』

 娘『うん。なんかよくわからんけどひどいな。』

マ『ごめん~急いでサンドイッチ作るからそれ食べんといて!』

娘『まあ、しゃーないやん。最近ママ忙しいしさ。とゆうか10年に一回の失敗やったらいいやん。』

マ『10年?』

娘『うん。10年くらいやろ。私が生まれてからちょっとしてママのご飯食べ始めたんやし、そっから私が覚えてるなかでは、こんなひどいのは初めてやで。』

大失敗のパスタの代わりに急いでハムサンドを作ろうとしていた私は、慌てながらも娘のその言葉に正直ひそかに歓喜した。そもそも失敗しときながらなんなんだが、それまでの10数年ほどの毎日の自分はよくやっていたと言ってもらえたように思えたからだ。

『ごめん~ありがと~。じゃあ、今日の夜ご飯はサンドイッチに変更~。』

そう言って、食卓にハムサンドだけのお皿を並べ、夕食をやり直した。

大失敗の夕食になったものの、連日心身疲労気味の私としては子供たちの優しさに少し癒された気がした夜だった。

度重なる多方面からの無茶降りに辟易する中、そんな小さな癒しの夕食シーンを日記に書き留めておきたいと思っていたのだが、バタバタと動き回る日々に毎日が謀殺され、日記のページを開けることなく、それから数日が経過してしまっていた。

 

一カ月近く日記を書かずにいた毎日、私はいつも購読させていただいていた方々の記事も開かずにいた。開いたが最後、読みたくもなるし、また自分も書きたくなるだろうと思え、一切「はてなブログ」アイコンに触れずに過ごしていたのだ。(かわりのストレス軽減現実逃避ツールに出先でポケモンGoをインストール。娘に超呆れられるが息子大喜び。)

 

 

 

 

部屋で拾ったノートは娘のものであった。

中身をぱらっと開けてみるとほんの二行、文字が書かれていた。


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『5月29日(水曜日)晴れ

ママが初めて、ごはんをしっぱいした。』

まさかの日記。しかも日記は日記でも母観察日記と言った方がいいかもしれない。よほど慌てて書いたのか、雑な書き方な上に誤字もあったが、母としてはそれよりも何よりも、日記を始めてしまうほどにあの失敗パスタは衝撃だったのかと、娘に問いたかった。

おもむろに開いたものの、ノートにはその一言以外に文字は書かれておらず、次のページをパラっと確認するも、やはり何も書かれていなかった。


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三日坊主どころか一日坊主か……と呆れたものの己の状況も大差ないなと思え、意地でも日記を書きださねばと決意。

 

 

まだ少しバタバタですが緩やかにがんばっていきたいと思います。