i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

笑う門には福よ来い

一月二日、新年の挨拶をしようと実家へと電話をかけた。

私の実家ではいつも元旦は家族でのんびりと過ごし、二日から親戚友人が集まり新年の挨拶をする。今年も姉夫婦が一月二日から実家へ行くときいていたので、それに合わせ、日本時間の一月二日の夜に電話をした。

『新年明けましておめでとう。』

と姉、義兄、甥、父、母、と順番に電話をかわってもらい皆に新年の挨拶を告げたあと、祖母に電話をかわってもらった。

祖母とは、私が小さい時から一緒に実家で住んでいる私の父方の祖母であり、すなわち私の息子&娘のひいおばあちゃんである。有難いことに90歳を超えて尚しゃかりきに元気でいてくれて、今までに数々の爆笑エピソードをたたきだしてきた我が家族の原点のような存在だ。

1番記憶に新しく強烈であったエピソードといえば、数年前に父が心筋梗塞を起こした時だろうか。

父が心筋梗塞を起こし救急で運ばれ長時間にわたる大手術を受けた事があった。心配になった私も連絡を受けてすぐに緊急帰国し父の元へ駆けつけた。私が病院に着くと父は集中治療室に運ばれていたものの、幸いにも一命を取り留めていた。安堵した私はそれから数日間、実家に滞在していたのだが、その間、私は母と姉とで、祖母に対し少しの情報操作を行ったのだ。というのは、父が順調に回復に向かえることに加えても、祖母が自分の息子である父が生死の境を彷徨ったという事実を知ると、今度は祖母が心配しすぎてショック死するのではないかと考えたからだ。よって私たちは、

『なんか、ゆーても大したことなかったみたいやで。一応、念のため入院しとこかってなったらしいよ。』

と父の大手術の件を祖母には伝えないでおいた。

数日後、手術後の集中治療を終え一般病棟へ移り、歩けるようになった父が病院内の公衆電話から実家へと電話をかけてきた。入院している自分の身を心配してるであろう母、つまり祖母に自分の元気な声を聞かせて安心させようと思ったらしい。父はいつものように、明るい口調で電話をとった祖母に対し、こう言った。

『ああ、おかあちゃん?オレオレ!』

と。

80歳を超えていようと超人的に元気な祖母は瞬時にこう思ったらしい。

「これが噂のオレオレ詐欺か!!」

全くもって残念な世間の詐欺事件のおかげで父の祖母へ対する気遣いは撃沈。祖母は電話口に向かって大声で叫んだ。

『うちに息子はおりません!!!』

と。

そして父は祖母になかったことにされた上、すぐさまガチャン!と電話を切られたのだ。

この時は本当に父が気の毒になった。

しかし、その後

『あはははは!そりゃ、今時あんなオレオレ言われたら疑うわあ!ははははははは!』

と笑いながら自己弁護をする祖母の意見が圧倒的に強く、

『今の時代、電話口でオレオレ言うのはアウト!』

と、病後の父が我が家では罪人となったのである。

私としては胸中、「親子コントか!」と突っ込まずにはいられなかった話である。

 

 

そんな愉快痛快な祖母と先日、新年の挨拶を電話でした。

息子『明けましておめでとう!おっきいおばあちゃん!!』

祖母『あははははははは。元気にしてるー?はい、明けましておめでとう!いやーおばあちゃん、電話で喋れて嬉しいわあ!あはははははは!』

娘『明けましておめでとう!!』

祖母『あはははははは!はいはい!おめでとう!』

娘『きいてきいて、ついにママの身長抜かしてんで!』

祖母『あはははははは!そう!そんな大っきくなったん!ははははは!そりゃすごいわあ!ははははは!』

娘『おばあちゃんはほんまに笑ってばっかりよなあ!』

祖母『ははははは!え〜そうか〜?』

娘&私『いや、笑いっぱなしやん!』

祖母『ははははは!そうか!ははははは!』

 

オレオレ詐欺疑惑事件を笑ってごまかした時から数年経てども変わらぬ元気さと笑い声をもつ祖母。箸が転んでも可笑しいとするは10代の頃を指すらしいが、90だろうが挨拶ひとつに笑い転げる祖母を見ていると、その説はどうなんだろうと娘と二人で協議した。

挨拶一つで笑う祖母、つられて笑う我が子達。さらに続いて笑う私。端から見ると若干異様な光景であったかもしれないが、笑う門には福来るということで、あれだけ笑ったら余程良いことあるのだろうと子供達と言い合った。

 

 

 

 

今年も愉快でいい事ありますように。

皆様、今年もどうぞよろしくお願い致します。

 

 

一虎