i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

息子との晩餐

鬼の居ぬ間に、、、訂正。

娘の居ぬ間に息子と二人の時間を楽しんだ。

 

 

娘とは違い息子は小さい頃から、アンチ自然、インドア万歳、土の上なんて歩きたくない、人間以外虫も動物も大嫌い…そんな精神の持ち主だった。それこそ野外キャンプなんて誘おうもんなら断固拒否をしていただろう。しかし、成長とともにそんな考えも少しだけ変わったようで、今回の姉のキャンプに関し一緒に行きたいとまでは言わないものの、時折少し羨ましそうにしてみせた。

そんな息子を若干気の毒に思った私は、この四日間くらいは息子のわがままに付き合ってやろうと思い、息子に何がしたいか?何が食べたいか?と、よく尋ねたが、天気もさほど良くもなく暖かくもなくで、特にあれがしたいこれがしたいという案が息子からは出されなかった。

しかし、母のわがままを聞いてくれそうな空気をしかと察知はしていた息子、やりたいことはなくとも食べたい物ははっきりしていた。

1日目『夜ご飯にインスタントラーメン』

昼御飯に出ることはたまにあるが、夜ご飯としてはあまり出てこない。そんなちょっとしたレア感からのチョイスだったのだろう。母としてはこんな楽でお得な夕食はないと、願ったり叶ったり状態だった。

しかし、2日目の提案はそんなお手柄メニューの真逆となった。

2日目『カツカレー』

我が息子ながらなんて憎らしいチョイスをするんだと、心の中で、

「なあ、知ってる?カツカレーって、トンカツをつくった挙げ句に、カレーまで作らなあかんねんで?言ってみれば二食分よ?世間の家庭で前日がトンカツでもないのに、一からカツカレーを作る家ってあるの??これは二食分にカウントするメニューじゃないの?」

と、少なくとも三回はぶつぶつ言っただろう。しかし、リクエストを聞いてやると言ったからには、やはり作ってやらねばと

『えー、もうトンカツでよくない?』

と足掻きながらもオーダー通りカツカレーを製作。

頑張って作ったカツカレーは私にとっても久々であり好物のひとつであり、自分で作っておきながら、『あぁ!最高!美味しすぎるっ!』と言ってしまうくらい、もはや感動的だった。私達二人は、

『キャンプのカレーも美味しいやろうけど、トンカツはのってないしなあー。』

とか

『さすがに外でカツは無理やもんなー。やっぱりカツ入りカレーは最高!』

と言い合いながら、キャンプに対する羨ましさをカツカレーで払拭した。

 

三日目。息子と二人の最終日。

その日は、朝の10時からラグビーワールドカップ勝戦が行われた。

南アフリカイングランドの試合、どちらにも頑張ってもらいたく、どちらを応援するとも決め難い私だった。そしてそんな私の横には同じように、今晩の夕食にハンバーガーを食べに行くか、ピザを食べに行くかを決めかねている息子がいた。

『ママはどっちを応援するの?』

と聞かれた私は

『どっちも応援してるから!どっちか選ぶのは無理!』

と答えた。すると、息子が、

『じゃあ!南アフリカが勝ったらハンバーガーな!イングランドが勝ったらピザ!』

と提案。

『じゃあ、それでいこう!決まり!』

と、私達は夜ご飯の決定権を二国の選手達に預け、決勝戦を見守ることにした。

あっという間の約二時間、夕食のことなど忘れペナルティや点が入るごとに絶叫し、見事な加点になれば歓声つきの拍手を起こした。そんな我が家の騒音はご近所の人達に

『一虎さんちは一体どっちを応援してるんだ???』

と思われていたかもしれない。最終的に南アフリカが優勝となり、試合後の表彰式も拍手をしながら見守った。そして、

南アフリカが勝ったなあ!じゃあ夜ご飯はハンバーガーやな!!』

と、まるで祝賀会でもするかのように私達は二人ではしゃいだ。

 

夜になり、二人ですぐ近所にあるご飯やさんへ行った。息子は予定していた通りハンバーガーとコーラを注文し、私は鴨肉のグリルとグラスワインを一杯頼んだ。私と二人きりの時の息子はいつもの息子と少し変わる。妙に落ち着き、普段のおかしさが大幅に減ってしまうのだ。レストランにて席に案内され、注文をきいてもらい、その度、丁寧にお礼を言い、騒ぐわけでもなく着席する。勿論、愛想を振り撒くことも忘れない。一体どこでこのスキルを身に付けたのかといつも不思議で仕方がない。

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注文した料理が運ばれテーブルに並べられると二人で乾杯をした。キャンプは羨ましかったけれど、二人きりのこんな時間もなかなか悪くはないと息子と話をしながらの最後の晩餐だった。私は久しぶりの大好きな鴨肉に赤ワインが進んだ。美味しい美味しいと言いながらの食事、グラスの中のワインが残り少なくなり、息子が私に言ってきた。

『あ、(ワイン)おかわりしてな。』

 

二人きりの最終日、息子がオッサンに思えた。