i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

チーズはどこへ消えた?

ここしばらく、学生時代に読んだ「チーズはどこへ消えた?」という本を何度も思い出した。かなりうろ覚えだったのだが、たしか、広い迷路の中、食べても食べても無くならないほどの大量のチーズがある一角があり、そこに二組のネズミが生活していたのだが、ある日突然そのチーズが消えてしまうというお話だった。毎日の食料であったチーズが消えたネズミ達は、チーズが消えた空間で事態が信じられず、ただひたすら嘆き困りはてるネズミと、消えたのならば仕方なしとすぐに迷路を進みだし新たなチーズを探すことにするネズミ、二つのタイプにわかれた。その本は、そんなネズミ世界のお話しを通して読者に、不測の事態だろうが臨機応変に一つの形に固執せずに対応していけよという教えを強く語っていた気がする。

 

 

新年早々、心を新たに日記に励もうと考えていた矢先の1月上旬某日の午後、仕事が休みの主人と昼食をとった後、二人で食卓にてコーヒーを飲んでいた。

おもむろに、主人が言った。

「あのさあ、ちょっと話したいことあるんやけど。」

「なに?どうしたん?」

「あのさ、、、ちょっとさ、今の仕事辞めて台湾行こうと思うんやけど、これを機に別れへん?」

「???は?たいわん?タイワン!???」

 

すぐさま頭に浮かんだのは小籠包だったが、そんな物はさすがに一瞬で消え去り、それから暫く私の頭に浮かび続けたのは時の人、国外逃亡を果たし異国で己の正義を叫び続けるカルロスゴーン氏、その人であった。

一年と少し日記を書くも、主人の登場回数は本当に数えるほど。仕事が多忙で殆ど家にはいないので、日記に書きようがないのも事実だが、数年前のある事件を機に私の堪忍袋の緒が切れ、それまでの拗れた夫婦関係も重なって、もはや愛想がつきた!と絶縁を宣言していた状態であったのだ。しかし、子供たちは私のことも父親である主人のことも大好きであり四人でいる時間を楽しんでいた。絶縁宣言後、同じ空気を吸うのも嫌!という程の憎しみが続くようなこともなく、以前にあったどうしようもない嫌悪感が消え、お互い相容れようがない二人なのだという理解が生まれた私達夫婦は、そんな子供達の気持ちは尊重したいと考え、子供たちがもう少し大きくなったら別れましょうと決めたのだ。

にも関わらずの突然の国外逃亡宣言。さすがの私もフリーズ(凍結)。

 

「台湾?台湾て、台湾よな。アジアの。」

「うん。仕事の関係で、あっちに来ないかといってもらってて、、、」

「いつから?」

「…早かったら五月?」

「五月!!?五月て、この五月?来年?」

「この五月。でもまだ、それは確定じゃなくて、今年中にいけたらいいかなあと。」

聞けばわりと具体的な今後のプランが決まっており自分だけが台湾へいき、こちらへ仕送りをするからこのまま3人でいればいいとかなんとか、、、、コイツかなり前から黙っていたなと思えてきたと同時に、この一家の主にあるまじき唐突な責任丸投げ宣言に様々な怒りの感情が湧いてきて、さすがの私もキレた。

しかし、だからといって彼の行動に反対はしなかった。我々家族のことでもあるが彼の人生でもあり、家族が鬱陶しいから一人出ていくと言い出すような愛情のない人間ではないこともわかっているからだ。私の周りの人間にこの出来事を話すと大体の人は、酷い話で酷い旦那だというのだが、もちろん否定しきれない部分もかなりあるが、同時に現奥様としては彼なりに辛さや愛情があることを理解できなくもなかった。

「ちょっと、どうするか考える。」

と、私は主人に伝えた。

それからこの一ヶ月間、今後の我々三人の生活をどうするか、どうできるか、何がしたいか何をすべきかを必死に考え、この5〜10年程に我々に関わりそうなあらゆる事、生活、教育、進学、就職、社会等、あらゆる方面からかなり具体的に調べまくった。

 

そして、頭にネズミを飼い始めた私は一つの結論を出した。

LIFE  IN  JAPAN

という結論を。