i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

一番の愚者

『……ママ。…ママ。朝やで。』

暖房が切れ少し気温の下がった部屋でぬくぬくと布団にくるまり眠っているとすぐ近くの二段ベッドの上段にいる娘に起こされた。息子は熟睡していた。

娘『スタバいくの?』

マ(私)『……』

娘『………いく?』

マ『…』

 

今朝はバカンス最終日恒例のスタバ朝御飯の日であった。昨夜、スタバでの朝食を楽しみに早く布団に入り眠りについた私&娘&息子。いつもならスタバ朝御飯の日の朝は、3人ともすぐさま飛び起きるのだが今朝はいつもと同じにならなかった。

本来、バカンス中に崩れきった遅寝遅起きの生活リズムを正すため、バカンス最終日は学校へ行くかのように早起きをしてスタバへ出掛けるという作戦であったはずが、目が覚めると既に8時を回っていた。バカンス中の毎日よりは遥かに早起きではあるが、学校がある時のリズムには戻りきっておらず、なんとも中途半端な早起きとなったのだ。おまけに、昨夜早めに暖房を切って寝てしまったせいで部屋が寒く布団からでるのが辛く感じられた。おそらく娘も同じ気分であったのだろう。いつもなら飛びおき素早くスタバへ出掛ける準備をするはずの彼女がベッドから姿を現さなかった。私にたいしてもいつものように、起きろ起きろと促さず『…いく?』という疑問型であったのだ。

さては、寒いしこのまま寝てたいと思ってるな?と、娘の心を読みながら異を唱えることなく同調する母(私)。頭の片隅で『ここで寝るな!起きろ!起きてスタバにいくのだ!』と必死で生活リズムを正そうとする自分の善良なる意識が叫ぶも、そんな意識に蓋をしてさらに布団に埋もれ丸まった。母娘の間に暗黙の了解なる空気が流れた。

しかし、そんな空気の中、娘の声が聞こえたのか、息子が目を覚ました。いつもなら一番寝起きが悪くなかなか布団から出てこないのだが、スタバ朝御飯のためならばと、動かない母娘を完全無視しベッドを飛び出しかと思うと、あっという間に出掛ける準備万端の姿をして、布団から出てこない我々女性陣に苦言を呈しだした。

『なんでおきへんの?』

『いつまで寝てるん?』

『僕もう用意できたよ。』

『僕が一番早いで。』

『一番に用意してるけど?』

『まだなん?』

と、普段のマイペースな彼からは考えられない言葉が次から次へと出てきたのだ。なんて面倒くさいやつだと思いながら渋々布団から這い出た私だったのだが、娘にとってはそんな彼の態度は面倒くさいではすまなかったのだ。娘は、

『私のほうが早く起きてた。』

『とっくに私起きてたし。』

『というか、起こしたん私やん。』

『一番に起きたのは私や。』

と、ぶつぶつと物言いだした。

普段のんびりマイペースな弟に散々手を焼かされている彼女からすると、そう言いたくなるのも無理はないなと思え、私は彼女を軽くなだめた。しかし、完全に不機嫌となった彼女はそのまま二段ベッド上段で籠城を決め込み、布団から出てこなくなってしまったのだ。仕方ないからしばらくほっておき、先に出掛ける用意をしておくことにした。途中でちょこちょこ声をかけるも応じず、すっかり出掛ける準備ができたにも関わらず出てこない。さすがに徐々にむかついてきて、

『出てこないならほっていく。』

といい放った。

娘は渋々ベッドから降りてき、

『私だって先に起きてたし、あんな嫌な言い方されたらムカつくわ…』

と弟への不満をもらした。すると、

『でも、僕はちゃんと起きたし!用意できてるし!』

と息子が反論。

そんな二人に私から

『布団から出てはこなかったけど最初に目が覚めて皆を起こしてくれた方もえらいし、最初に目が覚めんかったけど布団から出てちゃんと用意をしてた方もえらいやん。』

と、どっちもよくやったおかげで朝からスタバにいけるのだと説明した。母の説明になんとなく納得した二人であった。

 

それから気を取り直し、3人で予定していたより時間は遅くなったが、近所のスタバへと向かった。スタバへ着きメニュー表を見ると

『ショコラ類、只今注文不可』

との紙が張られていた。

ようやくたどり着くもなんたる仕打ち。コーヒー類しかないとなると、娘&息子の飲めるものがなかったのだ。しかたなく、泣く泣く近所のマクドナルドまで移動した。

マクドナルドに着き、それぞれ好きなものを頼んだ。

母、エスプレッソ大とカヌレ(焼き菓子)

娘、アップルパイと紅茶

息子、ベーコン&ビーフマフィンと

            生クリームのたっぷり乗ったショコラ

 

息子の何とも言えない食べ合わせを呆然と見つめてしまう母&娘。

モグモグとこってりイングリッシュマフィンと甘々のショコラを嬉しそうに食べる息子の横で、こんなマイペース猛者相手に朝から怒るなと娘に言った。それでも若干納得してなさそうな彼女だったので、仕方がなく本音を伝えた。

『朝から皆を起してくれたからここに来れ、布団から出て皆を動かしてくれたからここに来れたん。二人がいなかったらここにはこれなかったんやろ?わかる?はい。じゃあ、一人だけ起きることも、布団から出ることもできなかったのは誰でしょう?』

娘『!!!』

『見よ!この動かなさ!ママと二人やったらここには来れんかったでー。』

と開きなおり言ってみた。

 

彼女はなんとも言えない顔をし

『ほんまやわ』

と笑いながら納得してくれた。


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明日からついに学校スタート。

寝坊せぬよう気を付けねば。