続 靴下議論
『靴下って、何で靴下なん?』
数日前に放たれた息子からのこの質問に対し、己の返答が適切ではなかったときづかされた。
先週の、あの忙しい土曜日の朝に放たれた息子からの靴下に対する疑問に対し、
『たしかに、靴下じゃなくて、靴の上やんなー。おかしいよな。なんでそんな名前にしはったんやろな。』
と、息子に同調する形で返答したのだが、後日その話を友人にしたところ、それは間違っていると指摘されたのだ。彼女の指摘に納得した私は昨日の朝、時間割の都合でいつもより遅くに学校へ行く娘と息子と私でいつものように朝食をたべながら、息子へ修正案を伝えることにしたのだ。
ママ(私)『靴下の話やけどさ、あれママが間違っててん。』
息『?そうなん?なんで?』
マ『あのさ、今ズボンの下に何履いてる?』
息『…?パンツ。』
マ『そうやろ。で、今ママ、ズボンの下ってゆったやん。それも"下"ってゆうやん。"長袖の下にTシャツを着る"とかさ、そういう意味で、靴の下に履いてるから靴下ってゆうんやってママも教えてもらったん。わかる?』
息子『あああ!』と納得した様子。娘はだまってきいていた。
マ『だからな、靴中とか靴上とかやと、やっぱりあかんねん。"ズボンの中にパンツを履く"とか"長袖の中にTシャツを着る"とかは言わへん……ん…言うわ。言う。…言うよな?』
息『言う。』
娘『言うわ。』
マ『言わへんことないやん。言うよな。』『"コートの中にセーター""シャツの中にTシャツ"。』
息子『めっちゃ、ゆってるやん。』
娘、ちょっと笑みが出だしている。
マ『しかも靴下って靴の中にあるよな。じゃあ結局、"靴中"もありやん。』
息『あり。』
娘、無言でひそかに笑っている。
マ『え、まってよ。でもさ、位置的にはさ、靴の上じゃない?ほら、こう地面があったらその上に靴やん、で次に靴下!そして足!』
息子『!うん!!』
マ『じゃあ靴上やん!え、じゃあ結局どれでもいいんじゃないの!?』
息子『ほんまや!』
議論が振り出しに戻った必死なアホ二人に娘が笑いだした。
『あははははは!なんの話してるんよ!!』
マ『だって、そうやん!どれも言えるやん!』
娘『そりゃそうやけど』
マ『色んなところから物事は見れるようになった方がいいねんで!』と、もはや無理くり反論
(それにしても…)といった呆れた顔で笑う娘。
たしかに朝から何を必死にわけのわからない靴下議論を開いているのだかと、自分でも可笑しく思えてきて私も笑いだしてしまった。そして、肝心の議題提供をした息子も満足した様子で笑っていた。
二人とも学校へ行く時間が迫ってきていて、慌てて用意をしてから家を出ていった。朝からおかしいながらも楽しい朝食だったので、上機嫌で部屋の片付けをしていたら一通のメールが来た。
『あなたの娘さん、一時間目の化学の授業に出席されていませんので、ご連絡もいただいていないので、無断欠席となります。理由を後日、連絡帳に書いて提出ください。◯◯中学 化学担当より』
少し片付けられて、爽やかさが増していた部屋で一人固まった。どうやら、うちの娘は1時間目がないと完全に勘違いしていたようで2時間目から登校してたのだ。彼女が自宅で靴下議論を聞いているとき彼女の友人たちは真面目に化学の授業を受けていたと想像すると、何とも言えない気分になった。
欠席理由に『忘れて自宅で靴下議論を傍聴してました。』とは書けまいが、一時間目忘れたくらいで死にはしないので、よしとする。
みなさん、素敵な週末を。