チョコレート工場
バレンタインに娘からお茶がもらえるだろうと昨日の午後は若干浮かれていたのだが、日記を書き上げ、しばらくすると帰宅途中の娘から
『明日のバレンタインデーに学校に何か作って持っていきたい』
と連絡があり慌てて近所のスーパーへ生チョコ入りガトーショコラの材料を買いに行く羽目になった。
どうせ作るなら美味しいものを作って沢山たべたいと考え、大きめのパウンドケーキ型二本分ができるようにと材料を買い揃えた。学校から帰り昼食をとった後、バイオリンの練習を終わらせた娘と二人でケーキ作りをした。すぐ横で息子がつまみ食いをしたそうにしながら学校の宿題に励んでいた。
材料を合わせていき、二人で交代に混ぜながら
『これ、明日何人分もっていきたいの?』
と尋ねると、
『15人。できたら全員に配りたいやん。』
と返事をされた。
(二本分作っといてよかった~)と思っていると息子から
『ボクも学校にもっていきたい!先生と隣のクラスの先生と校長先生とあとマダム ○○(授業中に勉強の補佐をしてくれる大人)に!』
見事に大人だらけな人選。息子らしいなと思いながら
『じゃあ、4人よな。4つ用意するな。』
と返事をした。
量的に足りるだろうとバウンド型を見ながら考えた。量は足りるがせっかくのバレンタインなのに包装紙がないなと気付き、ケーキが焼き上がってから子供達と近所の雑貨屋さんへと向かった。私としては、パウンドケーキ一つ入るくらいの小さなかわいい袋があればいいなと考えていたのだが、そんな便利グッズはどこにもなく、仕方がないのでマスキングテープと包装紙のように細長い筒状になってる包装用の透明フィルムを一つ買って帰った。
うちに帰りドアを開けると部屋中がチョコレート匂いでいっぱいだった。『うわーすごい匂い~』とかなんとか言いながら、大分温度が低くなっていたチョコケーキを見て気がついた。
母『これさ、今まだ暖かいし明日の朝ラッピングせなあかんやん。』
娘『じゃあ、朝しよ。』
(軽く返事をするが19個のパウンドケーキのラッピングを登校前にしろとな???)と思ってしまったのだが、だからといって私が夜中に一人でやるのは何か違うと思えてき、結局、翌朝一緒にラッピングすることに同意した。
『ママ!ママ!起きて!!ケーキ!!ケーキせなあかんから!!!ママ!!』
と、いつもの朝よりはるかに荒々しく起こされた今朝。
ぼーっとしながら、冷めきったチョコケーキを見て、19個ラッピングの使命をはっきりと思いだした。これはぼーっとしてられん!と、慌ててラッピングに取りかかろうとすると、
『おなかすいたー』
と娘&息子から朝ごはんがまだやけど?と訴えられた。
ああ、そりゃそうだと、ラッピングを一旦おいておき、台所へ戻りサンドイッチを作ってから子供達へとだした。子供達がサンドイッチを食べる横で、私は一人、ラッピングを開始した。
ケーキを19個切り出すと中から生チョコが出てきたので、そこにクッキングシートを小さく切り、べたつかないように張り付けた。透明フィルムをケーキ一切れを包装しやすい大きさにハサミで切り取り、一つ一つ汚れないよう崩れないようケーキを包んでいった。包めども包めどもなかなか終わらず、とりあえず先に4つ仕上げてしまい、できあがったケーキを息子に持たせて学校へと見送った。
登校時間がいつもより遅めだった娘は息子が学校へ行ってからもまだのらりくらりとサンドイッチを食べており、一向に手伝ってくれなかった。ようやくサンドイッチを食べ終わり包もうとするも、元々あんまり器用ではない娘なのでなかなか上手く包めず、仕方がないので私が包んだケーキをマスキングテープで留めるという流れ作業スタイルを導入したた。
二人でひたすらもくもくとチョコケーキを流れ作業で包みあげていきながら
『チョコレ~トディスコ♪チョコレ~トディスコ♪』
と少し以前に日本で流行っていたらしい歌をテンションをあげようと口ずさんでみた。しかし、
『どっちかってと、チョコレートディスコってよりチョコレート工場よな…』
という母娘同時意見により、我々の朝のテーマソングは可愛らしい女の子っぽい曲から、『映画 チャーリーとチョコレート工場』のウンパルンパへと変わってしまった。
娘と共に15個のラッピングを仕上げてから彼女を学校へと送り出した。朝からさんざんな目にあったと脱力しながら、食卓を片付けていると、子供達がつまんだからか残りのケーキが二切れとなっていることに気づいた。
あんなにいっぱい作ったのに……と思わずにはいられなかった。
しかし、このままでは残り物感漂うバレンタインとなってしまうので、今から子供達と主人へのバレンタインチョコを作ろうかと悩んでいるのだが、正直ちょっともうチョコが見たいと思えない。
辛口タイ料理がたべたいなぁ……