もう一人のサンタクロース
クリスマスイブの夜中、友人宅でのクリスマス会が終わり遅くに帰って来た私たち四人は、食べて飲んで騒いでの後で疲れきっていた。子供達は家に着いて直ぐにパジャマに着替えて歯磨きをし、到着から10分と経たない内にベッドに入ってしまった。
私は食べ過ぎたのとほどほどに飲んでいたワインのお陰で、お腹がいっぱいで動きたくなく、何をするにも面倒くさい気分でいっぱいだった。
しかし、子供達へのクリスマスプレゼントを準備するという大事なサンタ業務がまだ残っていた。子供達が直ぐにベッドに入ったとはいえ安易に眠っていると決めつけるのは危険だと、イブの夜の子供は侮れないからと私たち夫婦はしばらく雑談でもしながら時間が過ぎるのを待った。ある程度経ってから、そろそろかと買っておいたプレゼントと包装紙を取り出しラッピングを始めた。ラッピングをしながら、2つのプレゼント(スイッチのコントローラーとソフト【ゼルダの伝説】)は、どちらがどっち用のプレゼントというわけでもないので、二人で仲良く使うように欧米のクリスマスの習慣にならってクリスマスツリーの下に宛名も書かずに2つとも並べて置いておこうという話になった。2つのプレゼントのラッピングを終え、まだ暫くは待った方がいいかと話をしていたら、主人が
『後は置くだけやから、先に寝てていいよ』
と私に言ってくれた。お腹がいっぱいでほろ酔いの私にはありがたく、それではとお言葉に甘えて私は先に休むことにしたのだった。
クリスマスの朝、前日の遊び疲れと夜更かしからよく寝ていると、大人達より先に起きた娘&息子に起こされた。
『ママ!クリスマスプレゼントがないっ!!』
『枕の横に何もないっ!』
とのこと。
寝ぼけながら、
『え~ツリーの下とかにもない?プレゼントは枕元かツリーの下にあるもんやで。』
と、すっとぼけながら答えた。
『あー!!』
『あったー!!!』
と、娘&息子の歓喜する声が聞こえた。さらに、
『ママのもある!』
『ほんまや!これママのやん!』
『絶対ママの!!』
と続いたので、
『ええ!!???』
と、慌てて飛び起きた。
クリスマスツリーの横で、見つけたプレゼントを囲んで子供達が座っていた。子供達の真ん中を見ると見覚えのある赤い包装紙で包まれたプレゼント2つと、全く包装されていない見慣れない木箱があった。
『ああっ!!!』
開けてみると、私の大好きなものが入っていた。
なんとも私好みの渋いチョイス。
アダルティーなクリスマスプレゼントを頂いた。