i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

めでたいのは母の頭か3月か

一昨日の記事『敬意』をもって、この裏日記が108記事に達した。仏教でいうところの煩悩の数分、記事を書き連ねてこれたのだ。有益情報皆無の日記につき、100記事達成よりも108記事達成の方が『煩悩100%!!』といった感じがして、嬉しく思ってしまった私は阿呆だろうか。いや、嬉しいどころか、それ以来

『書籍にするなら108記事ずつで一冊にする…まずは電子書籍か…』

等と、さらにあまりある煩悩を使って娘&息子&主人への壮大な嫌がらせを考えているくらいだ。世の中には何百記事と書かれている方が沢山おられるとゆうのに、我ながらなんともめでたい幸せな思考回路である。

そんな幸せな思考を抱いていたこの数日、私はある大事なことに気付いた。

日本では3月のこの時期、最終学年にいた子供たちが今まで通った学校を卒業していく。ここ最近、そんな子供たちの卒業式に立ち会われ感動された方々の記事を読みながら、『そりゃ感慨深いだろうなあ』とか『これは私でも泣いてしまうなー』等と思い、同じく感動させていただいていたのだ。

そんな中、「そういえば〇〇ちゃん(娘の1歳年下の友人)が4月から6年生になるって言ってたなあ、そうなると来年の今頃あの子は卒業かあ。この間小学生になったと思ったのに早いなあ…」とふと考えたのだ。そして、気づいた。

「ん?ん?…〇〇ちゃんが来年卒業ってことは…え、うちの娘、今年卒業やん。」

と。

そう、なんと男前の我が娘、実は日本では小学6年生だったのだ。

フランスの小学校が5年制なことと、生まれた西暦によって学年を分けられるシステムにより、娘は一昨年の9月からフランスの中学に通っており、半年ほど前の9月からは日本の中学の教材を使って日本の社会科や国語を勉強していたのだ。おまけに身長も160センチとなり今や私とほとんど変わらない大きさである。これだけでも娘の学年を勘違いしてしまう要因としては充分だろうと思っているのだが、さらに付け加えると最近の我が娘は、日々口癖のように二言目には

『も~!ママ~!』

『ま~ま~!』

『ママッ!!』

と、どこぞのオカンかのように呆れながら母である私に苦言を言ってくるわ、

この間なんて近所の行きつけの酒屋のおじさんに

『うちの息子が26の独身でね、彼女もいなくてさ。うちの息子の嫁にお宅の娘はどうだろうか?』

と言われたりで、中身がオカンばりのしっかりした性格なうえ、パっと見も年齢不詳なのだ。小学生だと覚えていられるわけがない。

さらに私は己の日記においても『娘の中学校で…』『娘の中学の…』と、中学中学と連呼していたのである。むしろ、よく気づいたと言いたいくらいである。

 

実のところ今更日本の卒業式も何も娘には関係はない。しかし、それでも日本人であるのだし日本においての学年を三月中に気付けて良かったと私は思っている。日々読ませていただいている方々の卒業式に関するお話のおかげで、我が子もそんな学年だったのかと想像しながら卒業式に想いを馳せることができたのだ。

煩悩まみれの頭を使って娘の卒業式を想像して幸せな気分になれたうえ、九月からこちらで中学生になる息子にいたっては

『よしっ!助かった!!まだ小学生枠やん!!セーフ!!』

と【息子の奇行、小学生男子ゆえいたしかたなし】という、これまた幸せな解釈を得られたのだ。

大事な良いことに気づけて本当によかった。

 

次は煩悩総集編第2巻を目標に、216記事を目指そうか。

兎にも角にも頑張りマウス。

 

 

 

 

 

 

【煩悩 : ぼんのう】

仏教の教義の一つで、身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働き(汚れ)を言う。

(参照  Wikipedia)

 

 

敬意

母からのメッセージに気付かない娘。ヤツが帰ってくるまでに、バナナとお花を買いにいこうと、息子と二人上着をはおい、出かける用意をしていると、私の携帯電話にメッセージが入った。

f:id:i-chi-tora:20190324224648j:image

『あけろーーー

ろーーーーーーー

はーーやーーいーーー!!!!』

と。

『はやい』ではなく『はやく』だろうがとか、母に対して何たる口調だとか思いながら、慌てて娘に電話をかけた。

『え、ほんまに今あけていいの?』

『いいよ。結果おしえて!はやく知りたいから!』

と言われ、私はコンクールの結果の入った封筒を手にとった。娘と通話状態のまま、恐る恐る開封し、折り畳まれている一枚の紙をとりだした。

『20点満点中18点!!何位とは書いてないけど、授賞式にくるようにって!』

『はい。わかった。』

『すごいやん!18点て!』

『うん。ありがと。もうちょいしたら家帰るな。じゃ。』

『え!?』

結果を伝えると、あっという間に娘に電話を切られた。バナナとお花を買いにいこうと上着を着ていた私は慌てて娘に電話をかけなおしたのだが、いくらかけても繋がりはしなかった。またしても飛行機モードか…と諦め、もうすぐ帰ってくるなら出かけるわけにもいかないかと上着を脱いで、お花とバナナをあきらめた。娘のバイオリンコンクール出場に関し、ひたすら尽力してくださったバイオリンの先生に、結果が書かれた手紙を写真に撮りお礼とともに送信すると、すぐさま返事が送られてきた。

『おめでとうございます!!順位が書いてなかったからと、一位に入れなかったからと、残念がらないでいいとしっかり言ってあげてください!一位でもおかしくない得点ですし、十分高得点です!よくがんばったとひたすら誉めてやってください!』

と、なんとも優しい言葉が書かれていた。

電話をあまりにあっけなく切ったことといい、本人は恐らく悔しかったのかもしれないと思えた私は娘が帰ってきたらひたすらほめてやろうと思った。

しばらくして、娘が帰ってきてから、ひたすら誉めちぎり、おめでとうを言った。娘は嬉しいような少し複雑な顔をしていた。

 

それからのこの数日間、ありがたいことに日本にいる祖父母や友人達からも娘への激励の言葉が相次いだ。娘は悔しがる様子もみせず、皆にお礼を言っていた。さらにそんな中、バイオリンの先生から一通のメールが届いた。

『次からのレッスンは、この楽譜をするので譜読みをしておいて下さい。』

とのこと。添付されていたファイルを開けると、素人の母には解読不可能な複雑そうな楽譜が7枚もあった。娘に、

『これ、やっとくようにって先生からきたよー。』

と、携帯画面で新しい楽譜を見せると、嬉しそうに笑いながら、

『ええ~~っ!!もう新しいのきたん!!?一週間はゆっくりできると思ってたのに~っ!!!』

と顔と一切一致しない言葉を発した。明らかに言葉より顔がものをいっている状態だった。この間コンクールが終わったというのに、一息つく間もなく、ひたすら練習に励み続けなければならないということに嬉々とする娘を見て、我が子ながらもはや尊敬できると思えた。そんなことを考えていると、

『この楽譜、早く印刷してな!!あ、インクある!?ちゃんと買っといてや!!』

といつものように、母のダメ具合を心配しながら言ってきた。

 

ヤツと似た者親子とか言ってたら、そのうちバチがあたるかもしれないな……と思えた。

 

 

 

 

追伸 : 

娘のバイオリンコンクールに関し、応援、ご心配くださった読者の皆様、どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とてフライト中

 

今、目の前に先日娘が受けたバイオリンコンクールの結果が入った封筒がある。

ついさっき郵便受けに入っているこの封筒を見つけたのだ。

『もう来た!!!』

と思い、娘の携帯にメッセージを送った。

『きたよ!きた!』

『結果きたよ!』

『帰ってきたらあけるよな?』

『開けて教えてほしい?』

とかなんとか、封筒の写真まで添付して何通か送ったのだが返事が一向にこない。

今日は水曜日で、本来なら一時半過ぎには学校から帰って来て一緒に昼食を食べるのだが、今日は学校後そのまま友人宅へと遊びにいってしまったのだ。

 

娘は中学に入ってから携帯をもちだした。子供の安全を考えて私たち親が持たせただけなので、彼女の携帯は高機能スマートフォンというわけではなく、通話やメッセージ、メール、音楽など、最低限のことはできるといったタイプのものだ。

大人も子供も便利だなんだと依存性すら心配される携帯電話という便利グッズ。電車に乗れば乗客が一斉にスマホを触りだすくらいの今の世で、娘が携帯を持ち出した当初、私も娘がそうなるかと注意をしつつ、少なからず心配した。

しかし、娘はそんな母の心配とは相反して、恐ろしいほど携帯電話に対して執着をもたなかった。彼女いわく、

『学校で使用禁止やから機内モードにしてるねん。』

とのこと。

『へー。』

と、それを聞いた時は感心した。

しかし、ここ最近、なにかと面倒くさいという理由から学校以外でも半日以上機内モードのままほったらかし、そのまま充電が切れていようと気付かない。さらに前回のバカンスにおいては、コンクールもあったからと二週間丸々電源を切って過ごしていたのだ。さすがにそこまですると周りの友人達が困るだろうと娘に言うと、

『皆知ってるし、どうせ学校でしゃべれるやん。皆で遊ぶとかなったらママの携帯にかかってくるやろから。』

と、母を受付窓口に設定済みだと言い出したのだ。この人これでいいんだろうか?と思いながらも、過度に携帯に依存するよりはましであるかと、やはりその時も彼女の携帯の使用方法に関し何も言及はしなかったのだ。

しかし、今まったく娘から連絡をよこさないこの状況から、よくよく考えるとヤツの携帯電話に電話しても5回に1回くらいしか繋がったためしがないという気がしてきた。

絶対に今もヤツの携帯の右上には✈️こんなマークが入っているに違いない。

帰って来たら、学校の門から出たら機内モードを解除するよう言い含めねば。

 

 

その前に、験担ぎのバナナ七本とお花でも買いに行くとしよう。

 

悪知恵使いの子供達

朝7時前。目が覚めると既に娘が起きていた。

息子が入学予定をしている中学の保護者説明会、音楽教室、コンクール、知人から頼まれている事務作業等、ここ数日バタバタとこなしていたせいか、やたらと深く眠っていた私は、起きてからも頭がぼうーっと思考が働いていなかった。

娘に朝御飯のサンドイッチを作り、食卓へ持っていくと、何やらご機嫌な娘がいた。特に理由はないようだったのだが、いつもより服装に気合いを感じた。

『今日の格好かわいいやん。』

と娘にいうと、

『そやろ?私も気に入ってるねん!』

と嬉しそうに答えた。

制服のような膝上のプリーツスカートに黒タイツをはき、薄いピンクのカーディガンをきていた娘は、明らかに日本の女子高生を意識しているようだった。

『うん。かわいい。黒ピンクの組み合わせはママも好きやし。制服っぽくていい。』

というと、娘は嬉しそうに笑っていた。

朝御飯を食べおわり学校へ行く用意ができた娘をいつものように見送ろうと、玄関の方へいった。家のドアをあけ、アパートの階段でスニーカーの靴紐をくくっている娘を見ながら、(やっぱり制服はタイツのほうがかわいいよなー)とか思っていて、ふと気づいた。

『なあ。黒タイツってもってたっけ?』

と娘に尋ねた。

娘『え?…あったんじゃない?』

ママ(私)『いや、ない。ない!今青っぽいのしかなかったはず!』

娘『えー、そやっけ?』

マ『それママのウォルホードのタイツやろ!!!!』

思考が瞬時に通常運転へときりかわった。私の言うウォルホードのタイツとは、以前友人に勧めらた超高品質高級タイツであった。今までタイツひとつにそこまでこだわらなかったのだが、友人の熱弁っぷりと、たまたまタイミングよく8割引きの限定セールが重なり購入し、あまりの履き心地とキメの細かさに感動し、大事に大事に使ってきた代物だった。それをあろうことか、まだ12にしかならない小娘がしれっと学校にはいていこうとしてしていたのだ。

娘『え~。しらんで。畳んで置いてあったとこからとっただけやもん。』(笑)

マ『そんなんタグ見たらわかるやん!ってか、履き心地ちがうし!!しかも、黒いタイツ今もってなかったやん!!』

娘『タグなんかわざわざ見てないしなー。もうサイズ一緒やし気づかんよ。あ、もう行かな!時間ないしな!今からどうもできへんやん!じゃ!!(笑)』

マ『明らかに顔笑ってるやん!!この確信犯があ!!!』

娘『大丈夫!破らんように気を付けるから!!(笑)』

マ『!破ったら家入れへんわっ!!!』

と、アパートの階段にて朝から二人でぎゃあぎゃあと言い合うも遅刻させるわけにもいかず、泣く泣くウォルホードのタイツとともに娘を送り出した。

ドアを閉めてから、息子を起こしにいった。寝起きの悪い息子がベッドから起き上がるのを見届け再びサンドイッチの用意をした。用意したサンドイッチを息子と二人で食べながら、タイツの件を息子に愚痴るも、微塵の関心も見せない彼の様子に、さらに私はふてくされた。

息子を学校へと送り出し、子供たちのベッドをきれいにしようと二段ベッドの前へいくも、なんてひどい朝だとふてくされていた私は、ついうっかり息子のベッドにバタンと倒れ込み、そのまま二度寝をしてしまったのだ。

 

ブーブーブー…ブーブー…と携帯のバイブの音が近くでしたような気がしたが、すぐに止んだ。再びブーブーブー…と、今度ははっきりと聞こえた。

電話なってる!と、ガバッと起き上がり近くにあった携帯を慌てて手にとり、画面もよく見ずに電話にでた。

私『はい!』

マダム『あー!私、○○小学校のキャシー(仮)よ!』

私『!!』

私はとても驚いた。いや、驚いたどころじゃなかった。心臓が止まるかと思った。というのも、数年前の3月に、同じように学校から電話があり息子の大ケガを報告され、救急車で運ばれたのち、薄皮一枚分で息子の一命をとりとめるという事態を経験していたからだ。またしても何かあったかと、瞬時に恐怖にかられた。

『あ、今おたくの息子にかわるわね。』

と明るい口調でキャシー(仮)に言われ、私は一気に安堵した。

息子『あ!ママ??』

マ『どうしたん!?なんかあったん?』

安全はわかったものの、一体何があったのかと多少の不安がありながら聞くと

息子『あんなー、ぼくメガネ忘れたから、もってきてー。』

ママ『は?…メガネ???え、今から?もってこいと?』

息『うん。ママにメガネ忘れたから持ってきてって頼みたいし、先生に携帯かしてって言ったら先生がかけてくれてん。入り口のガーディアンさんに渡しといてくれたら、後はとりにいくから。じゃあねー。』

そういうと、あっけなく電話を切られた。

メガネひとつに母をパシリにしようとはなんてやつ!!と部屋で一人憤慨。

くっそ~!!ゆるすまじっ!二人ともっっ!!っと思いながらメガネを持って息子の小学校へと向かった。

 

夕方、娘が帰ってくるやいなや、

『今すぐタイツを脱げ!!』

と追い剥ぎのように迫り、

息子には、

『二度と先生の携帯をあてにするな!!!』

とぶちきれた。

 

 

成長とともに伸びる身長と(悪)知恵に恐怖を感じた一日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

幸運のバナナ

「午後12時45分審査開始」

と書かれたバイオリンコンクールの受験案内をもとに、バイオリンの先生から

『直前の練習用に練習室を借りれるので朝11時に会場に来て下さい。』

と言われたので、万が一にも遅れるわけにはいかないと、コンクール当日の昨日、娘&息子&私の三人は予定していた時間よりかなり早めに家を出発した。

 

コンクール会場11時集合で審査が12時45分開始だとなると、昼ご飯をゆっくり食べれないなと思ったので、行きしなに何か軽くつまめるパンでも買って持っていこうと考えていたのだが、困ったことに会場に着くまでのスーパーがことごとく閉まっていて、結局何も買えないまま、10時半というかなり早い時間に会場へ到着してしまった。

早めに来たにも関わらず、会場に入るとすぐに娘のバイオリンの先生と会うことができた。先生の言うことには、午前中に行われている他のレベルの審査がかなり長引いていて、娘の審査も12時45分開始とはいかず、もっと後になるだろうということだった。

それを聞いて、来る途中に何も食べ物を買えていなかった私は焦った。我が娘は単純なので、お腹が減っている時と満腹時ではエネルギーの放出量があからさまに違うのだ。空腹状態でコンクールなんて、折角の今までの練習が水の泡になりかねないと思い、先生に近くにスーパーかパン屋さんはないですかと尋ねた。

『……スーパーはあるかなあ…確かに出来ればすぐにエネルギーになるバナナなんかを食べておいたほうがいいですね。私もよく演奏の少し前にバナナを食べるんですよ。一つ向こうの大きい駅の方へ行かれたら、スーパーはわからないけど、パン屋さんとかスターバックスとかはありましたよ。』

と教えてくれた。

それをきくやいなや、先生のことが大好きで崇拝しきっている単純な我が娘は

『バナナ!バナナ探そ!!先生もいつもバナナって言ってるし、バナナ食べる!!』

と言いだした。

どこに何屋さんがあるかもわからない状況でそんな我儘とも言える娘の要求に、普段なら一蹴している私だが、昨日の私はそんな娘の考えに異を唱えるはずもなく、

『よし!先生にあやかってバナナを探しにいこう!!今日のラッキーアイテムはバナナだ!!』

と賛同し、先生に

『少しバナナを探しに行ってきます。』

と伝えた。私達親子三人とかれこれ五年間も付き合ってくれている彼女は、笑いながら我ら親子を送り出してくれた。

とりあえず先生の言ったとおり、一つ向こうの大きい駅を目指すことにした。スタバやパン屋さんにもカットされたフルーツはあったはずだと、片っ端からバナナを探すことにした。

パリの街では、日曜日を休業日としている店舗が多く、場所によっては片っ端から全ての店が閉まっていたりするのだ。コンクール会場のある界隈はまさにそんな場所だった。古くからの音楽学校があるせいか、楽器屋さんばかりが大通りにずらりと並んでいるのだが、見事に全ての店が閉められていた。

バナナを目的とするもバナナを売っていそうな店はなく、道すがら目にはいる休業中の楽器屋さんのレトロなショーウィンドウは時折私達の足を止めた。

f:id:i-chi-tora:20190319023611j:plain

楽器のあれこれに見とれている場合じゃないと言いながら、止まっては進みを繰り返す私達は、ダラダラとしながらも駅の手前に一軒のスターバックスを見つけた。店内に入り、サンドイッチやカットフルーツが並ぶ冷蔵コーナーをチラっと見ては、バナナがないことを確認すると、店員さんに一言謝ってから店を出た。スターバックスにはあるんじゃないだろうかと期待していたので、私達は少し焦った。

それからスターバックスを後に、急ぎ足で少し歩くと駅前についた。パン屋さん、ビザ屋さん、スターバックスマクドナルドが視界に入ったのだが、いまいちバナナがありそうなお店はなかった。

しかし、もしかしたらあるかもしれないと、それらの店の前まで行きガラス越しに店内を見てはバナナの有無を確認した。だが、バナナはなかった。大きな駅の回りの通りをぐるりと歩いていて思い出した。

ママ(私)『待って!駅の売店にあるんじゃない!?』

娘『ほんまや!』

私達三人は慌てて駅構内へ入った。

案の定、駅構内にある大きな売店にバナナが山積みになって売られていた。

f:id:i-chi-tora:20190319023311j:plain

ラッキーアイテムをゲットだ!!と我々三人は小さな店内で喜び、4本のバナナをお会計へ持っていき精算をすませると、コンクール会場へと戻っていった。

ついさっきショーウィンドウの楽器を眺めながらダラダラ歩いていた道を急ぎ足で逆戻りしながらバナナを買えたことを喜びあった。至極勝手な験担ぎではあるのだが、これだけ店が閉まっている中、目的のバナナに出会えたことは単純な我々にとっては幸運を手に出来たような気分だったのだ。

『これでばっちり!後は楽しく弾くだけやな!』

と言いながら、もうあと数十メートルで会場に着くというところまできたとき、コンクール会場の向こうから歩いてくる女性に目がいき固まった。娘もほぼ同時に歩みを止めた。

息子が

『めっちゃバナナやん!!!!』

と叫んだ。

向こうから向かってくる女性がなんと両手いっぱいにバナナを抱えて歩いていたのだ。娘が吹き出し

『買いにいかんでよかったやんっ!!!!』

と叫んだ。

いやいや、まてまてと、

『いくらなんでも歩いている人からは売ってもらえへんやろ!!あの人も要るからあんな抱えてるんやし!たまたま通っただけやしな!』

と、娘を宥めた。

そりゃそうか、と一瞬騒いだ自分を落ち着けた娘だったが、これだけバナナバナナと探しまわった挙げ句、会場前で大量バナナと出会ったことがおかしくて、大笑いとなった。もちろん私&息子も笑った。

『これは、いいことありそやな。』

と勝手な験担ぎに期待をしながら、上機嫌での会場入りとなった。

f:id:i-chi-tora:20190319023505j:plain

演奏後、

『あー!めっちゃ楽しかったっ!!!』

と、自身の演奏に満足そうな娘を見て、こんな神経図太い性格に験担ぎが必要だったんだろうかとも思えたが、とりあえずバナナのおかげということにしておいた。

 

審査結果は後日郵送なので今はまだわからないのだが、何はともあれ楽しい一日となり満足なコンクールであった。

 

 

次回からはバナナ持参で行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Enjoy your music.

こんな写真を晒されているとは

露程も思っていないであろう娘

f:id:i-chi-tora:20190317084608j:image

いくら顔を隠せども

なんともふてぶてしい偉そうな態度から

怯むことない強気な性格が滲み出ている

 

明日も変わらずこんな態度を貫き通せと

切に願う。

 

明日はバイオリンコンクール

はてさてどうなることやら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホワイトデーのお返し

ホワイトデーの昨日、学校が終わり娘が帰ってくるやいなや

『ママ!今日なんの日か知ってる!!?』

と、私に向かって質問してきた。

 

『今日は14?ああ、ホワイトデーか。』

と答えると、娘が学校の鞄をごそごそとあさり、

『見て!!もらってん!!!バレンタインのお返しにって、○○君がクッキーくれたん!あと、学校で△△くんと□□ちゃんも飴とかチョコ持ってきてくれてて皆で食べたん。』

と、大喜びしながら小さなクッキーの箱を私に見せつけてきた。娘のあまりの嬉しがりように私は少し羨ましくなった。

ママ(私)『いーなー。ママもおじいちゃんにチョコの一つでも送っときゃよかった。そしたら今頃美味しいお返しが貰えてたかもしれんのになー。』

娘『ああ。おじいちゃんは確かに何かくれそう!』

マ『ママが小さい頃、毎年バレンタインにおじいちゃんにチョコあげてたんやけど、あげる時にお返しをリクエストして渡してたん。「お返しはたこ焼きにしてな。」とか。あああ、リクエスト付きでおじいちゃんに何かあげればよかったー。』

娘『今さら言ってもしゃーないやん。まあ、このクッキーは私のやし、食べんといてな。』

私はこの娘の一言に対し、瞬時に理不尽さを感じた。世間の心優しいお母さん達はこんな時、娘がバレンタインのお返しを貰えて喜んでいる様を微笑ましく見つめたりするのかもしれないが、先月のバレンタインにチョコレート工場を思わせるくらい、大量のガトーショコラの制作を娘に強いられた私は、そんな心優しいお母さんのような振る舞いはできなかった。私は思いのまま

『…なあ。知ってる?バレンタインのチョコケーキ、あれほとんどママが作ったって?』

と娘に言ってみた。すると、

『ははは。わかってるよ。でもさ、バレンタインの時に、「ママと作ったチョコケーキやねん」って皆に言ってケーキ渡したんやけど、お返しは「ママにもあげてな」とは言われてないからなあ。』

と、なんて性格の悪い娘だろうかと思ってしまうような返事がきた。が、口ではこう言いながらも、それなりに私へ感謝をしていることもわかっているし、それほどに皆からのお返しは嬉しかったのだろうと、理不尽ながらも渋々と、それ以上は食い下がりはしなかった。

しかし、やはり羨ましいものは羨ましかった。己のとる行動に見返りを求めるべきではないと頭では思うのだが、あんなに大量にガトーショコラを作ったのに…と思わずにはいられなかった。所詮、母は黒子であり裏方か…と致し方なしかとやさぐれていると、床でゴロゴロと漫画を読んでいる息子が目にはいった。ふと

『なあ。ホワイトデーって知ってる?』

と息子に聞いてみると、

『え…知ってるよ。』

と返事がかえってきた。ほほう、知ってはいるのかと思い、

『ママ、チョコケーキあげたような気がするんやけどなあ……』

と、確実にお返しなんぞ何も用意していない息子に対して呟いてみた。すぐさま

『ええ!?何もないよ!!だって僕何もあげれるもんないし!!おやつももってないで!!』 

と、必死に己の無力を説明する息子。

『うそうそ。ママがあげたかっただけやから、いいねんで。』

と、すぐに慌てる彼をなだめた。

しばらくすると、息子は手に持っていた漫画をパタンとおいて立ち上がり、私を見ながらこちらのほうへやって来た。

『?』

よくわからない笑みを浮かべながら、両手を大きく広げたかと思うと、食卓の椅子に座っていた私に無言でハグをしてくれた。

 

マ『え?何これ?まさか、お返し?』(笑)

息子『ふふふ。』(笑)

 

母&弟のやりとりに娘、爆笑。

 

 

息子の将来が不安になった。