i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

悪知恵使いの子供達

朝7時前。目が覚めると既に娘が起きていた。

息子が入学予定をしている中学の保護者説明会、音楽教室、コンクール、知人から頼まれている事務作業等、ここ数日バタバタとこなしていたせいか、やたらと深く眠っていた私は、起きてからも頭がぼうーっと思考が働いていなかった。

娘に朝御飯のサンドイッチを作り、食卓へ持っていくと、何やらご機嫌な娘がいた。特に理由はないようだったのだが、いつもより服装に気合いを感じた。

『今日の格好かわいいやん。』

と娘にいうと、

『そやろ?私も気に入ってるねん!』

と嬉しそうに答えた。

制服のような膝上のプリーツスカートに黒タイツをはき、薄いピンクのカーディガンをきていた娘は、明らかに日本の女子高生を意識しているようだった。

『うん。かわいい。黒ピンクの組み合わせはママも好きやし。制服っぽくていい。』

というと、娘は嬉しそうに笑っていた。

朝御飯を食べおわり学校へ行く用意ができた娘をいつものように見送ろうと、玄関の方へいった。家のドアをあけ、アパートの階段でスニーカーの靴紐をくくっている娘を見ながら、(やっぱり制服はタイツのほうがかわいいよなー)とか思っていて、ふと気づいた。

『なあ。黒タイツってもってたっけ?』

と娘に尋ねた。

娘『え?…あったんじゃない?』

ママ(私)『いや、ない。ない!今青っぽいのしかなかったはず!』

娘『えー、そやっけ?』

マ『それママのウォルホードのタイツやろ!!!!』

思考が瞬時に通常運転へときりかわった。私の言うウォルホードのタイツとは、以前友人に勧めらた超高品質高級タイツであった。今までタイツひとつにそこまでこだわらなかったのだが、友人の熱弁っぷりと、たまたまタイミングよく8割引きの限定セールが重なり購入し、あまりの履き心地とキメの細かさに感動し、大事に大事に使ってきた代物だった。それをあろうことか、まだ12にしかならない小娘がしれっと学校にはいていこうとしてしていたのだ。

娘『え~。しらんで。畳んで置いてあったとこからとっただけやもん。』(笑)

マ『そんなんタグ見たらわかるやん!ってか、履き心地ちがうし!!しかも、黒いタイツ今もってなかったやん!!』

娘『タグなんかわざわざ見てないしなー。もうサイズ一緒やし気づかんよ。あ、もう行かな!時間ないしな!今からどうもできへんやん!じゃ!!(笑)』

マ『明らかに顔笑ってるやん!!この確信犯があ!!!』

娘『大丈夫!破らんように気を付けるから!!(笑)』

マ『!破ったら家入れへんわっ!!!』

と、アパートの階段にて朝から二人でぎゃあぎゃあと言い合うも遅刻させるわけにもいかず、泣く泣くウォルホードのタイツとともに娘を送り出した。

ドアを閉めてから、息子を起こしにいった。寝起きの悪い息子がベッドから起き上がるのを見届け再びサンドイッチの用意をした。用意したサンドイッチを息子と二人で食べながら、タイツの件を息子に愚痴るも、微塵の関心も見せない彼の様子に、さらに私はふてくされた。

息子を学校へと送り出し、子供たちのベッドをきれいにしようと二段ベッドの前へいくも、なんてひどい朝だとふてくされていた私は、ついうっかり息子のベッドにバタンと倒れ込み、そのまま二度寝をしてしまったのだ。

 

ブーブーブー…ブーブー…と携帯のバイブの音が近くでしたような気がしたが、すぐに止んだ。再びブーブーブー…と、今度ははっきりと聞こえた。

電話なってる!と、ガバッと起き上がり近くにあった携帯を慌てて手にとり、画面もよく見ずに電話にでた。

私『はい!』

マダム『あー!私、○○小学校のキャシー(仮)よ!』

私『!!』

私はとても驚いた。いや、驚いたどころじゃなかった。心臓が止まるかと思った。というのも、数年前の3月に、同じように学校から電話があり息子の大ケガを報告され、救急車で運ばれたのち、薄皮一枚分で息子の一命をとりとめるという事態を経験していたからだ。またしても何かあったかと、瞬時に恐怖にかられた。

『あ、今おたくの息子にかわるわね。』

と明るい口調でキャシー(仮)に言われ、私は一気に安堵した。

息子『あ!ママ??』

マ『どうしたん!?なんかあったん?』

安全はわかったものの、一体何があったのかと多少の不安がありながら聞くと

息子『あんなー、ぼくメガネ忘れたから、もってきてー。』

ママ『は?…メガネ???え、今から?もってこいと?』

息『うん。ママにメガネ忘れたから持ってきてって頼みたいし、先生に携帯かしてって言ったら先生がかけてくれてん。入り口のガーディアンさんに渡しといてくれたら、後はとりにいくから。じゃあねー。』

そういうと、あっけなく電話を切られた。

メガネひとつに母をパシリにしようとはなんてやつ!!と部屋で一人憤慨。

くっそ~!!ゆるすまじっ!二人ともっっ!!っと思いながらメガネを持って息子の小学校へと向かった。

 

夕方、娘が帰ってくるやいなや、

『今すぐタイツを脱げ!!』

と追い剥ぎのように迫り、

息子には、

『二度と先生の携帯をあてにするな!!!』

とぶちきれた。

 

 

成長とともに伸びる身長と(悪)知恵に恐怖を感じた一日だった。