i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

受けとめてとは言えないけども

 

土曜日のお昼前は、いつも息子と二人で音楽教室へと向かう。娘は午前中に学校があり、一度家に帰って荷物を置いていくという時間もないので、彼女は学校からそのまま音楽教室へと一人で向かう。代わりに私が娘の楽器や譜面台等のレッスンの用意をもち、さらに三人分のお昼ご飯をもっていき、レッスンが始まる前に音楽教室前で合流するようにしているのだ。

今日もいつもの土曜日と同じように息子と二人で音楽教室へ向かおうと家を出た。愛用の大きな鞄に楽譜、譜面台2つ、携帯、財布、ペットボトルの水、昼御飯のサンドイッチをつめ、背中に娘の楽器を背負っていた。

急がないと間に合わないと、慌てながら家のドアに鍵をかけ、行きしなに出していこうとドアの横に置いていたゴミの入った袋を手にとった。目の前の階段を2、3歩降りてすぐに「あっ!」と思った。

時既に遅し、世界がスローモーションへと変わった。

『ひややぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

ガシャン!ガシャン!

バタバタバタバタ!バサッ!バサッ!

ダダンッ!!

 

母(私)、階段でまさかの転倒。

悲鳴と騒音で下の階に住んでいるお姉さんが飛び出てきた。

『マダム!!!なに!?大丈夫!!!?』

ゴミ袋、譜面台2本、楽譜や携帯、鞄の中の諸々を階段にぶちまけ、前傾姿勢で階段の下方向に手をついてへたる私。あまりの衝撃に動揺した私は、そんなおかしな体制をろくにもとに戻せないまま

『大丈夫!ありがとう!大したことないから!うるさくしてごめんなさい!!』

と、さも平気そうにお姉さんに返事をした。

体制と言葉があまりに矛盾してたせいかオロオロしながらお姉さんが心配してくれ、これは不味いと体制を建て直し、本当に大丈夫だとお礼を伝えると、心配しながらも彼女は自室へと戻っていった。

微妙に足やら手やらが痛いなと思いながら散らかした荷物を集めていると

『ママ大丈夫~?』

と、さっきまでお姉さんがいた踊場のさらに下から息子が現れた。

『なんとか大丈夫~。急がなやばいな、遅れるわ。』

と言いながら、再び鞄と楽器とゴミ袋を手にした。急がないとと思いながらも動揺が拭いきれず、やたらとゆっくり慎重に階段を降りていった。中庭にある大きなゴミ箱に持っていたゴミ袋を放り投げ、アパートを後にした。

外は風が少し冷たかったものの天気もよくて、歩いていると少しずつ階段転倒の動揺は薄れていった。おもむろに、

『僕、ママは今日階段から落ちたって皆に教えてあげるな。』

と息子がいいだした。

『いや、何もいいことじゃないし教えんでいいから。』

と返事をするも、

『月曜日に先生にも言っとくし、友達にも言っとくから。』

とのこと。なぜにわざわざ報告するのかと、必須連絡事項でもないだろうよと考えていると、ふと落下時のスローモーション映像を思い出した。

落ちると思った瞬間、背中に背負ってるバイオリンは守らねばと焦りながら落ちていってた私は、一つ下の踊場にいてた息子が視界に入ったのだ。そして踊場にいた息子は、前のめりに倒れていきそうな母を見て、一目散にさらに階下へと逃げていっていた。

『なあ。ママが階段でこけた時さ、下に逃げたよな?』

と息子にきいてみると、

『うん。下におりたよ。』

と、サラッと悪びれることもなく言われたので

『ちょっとさ、「ああ!ママがっ!」って、助けようとかは思わんかったん?』

ときいてみた。すると、

『一緒に落ちるん嫌やったし。僕もチェロもってたから。』

との返事。

 

息子の二次災害回避能力について、適切な動きだと褒めたものの

息子脳内【ママ<チェロ】

という構図が拭い切れないのは普段の彼の生活スタイルのせいであり、気のせいだと思うしかない。

 

一日中、会う人会う人に

『ママ階段から落ちてんで~』

と吹聴されたあげく

軽く捻ったとばかり思っていた左足がどんどん痛くなっていき、家に帰ると腫れていた。

 

 

 

もう少し平和な日記を書きたいです。