i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

癒し系

火曜の朝の息子は機嫌が悪いことが多い。

月曜日の夜、家族四人でマリオカートボンバーマンといったニンテンドースイッチのゲームで盛り上がり、夜更かししてしまうことが多いからだ。原因がわかっていて、それでもゲームをやめないのは我々が単純にゲーム好きだからという理由ではない。

うちのご主人は週末も仕事があり月曜日が唯一の休日なのだ。おまけに深夜帰宅で、さらに週一回の休日すら仕事の都合で休日出勤となることがあり、普段、子供たちと主人との接点がほとんどないので、主人がうちにいる月曜日は子供たちにとって貴重な時間なのだ。それ故、月曜日はゲームばっかりしていようと夜更かしになろうと致し方なしと容認しているのだ。

 

今朝、のそのそと二段ベッドの下段から起きてきた息子が不機嫌そうに

『今日はスポーツの授業やからスポーツの服だして!』

と言ってきた。

ここ数日、早寝を心掛けているせいか朝から気分のいい私は、台所で朝食のラピュタパンを作りながら

『引き出しに入ってるはずやから、みてみて。』

と返事をした。息子は二段ベッド横にある自分の洋服ダンスの方へとむかった。しばらくすると、

『ない!!ママ、ズボンないけど!!?どこ!!?』

と息子のキレてる声がきこえてきた。

(ああ、また始まったか…)と、落胆しながら息子の方へいくと、引きだしに爆弾でも入っていたのかとゆうぐらい、引きだしから洋服があふれ、あたりに散らばっていた。気分がよかったはずの私もさすがにキレた。

母『なんでこんな全部バラバラにしたん!?落ち着いてさがしたらちゃんとあるから!!』

息子『でもないよ!!見たけどないねんもん!!ママが出してよ!!!』

母『ママはちゃんと片付けてたし、しらん!自分で何とかしい!!あと、ここ全部ちゃんと片付けや!!』

と言い合い、息子を置いて台所へと戻った。

(なんであんなぐちゃぐちゃになるんだ!)と、さっきまでの気分は何処へやら、ワナワナしながら朝食を仕上げた。三人分のラピュタパンを食卓にならべると、すでに学校へ行く用意ができ食卓に座っていた娘が一人先に食べだした。

私は食べ始める前に息子の様子を見に行った。息子はようやくお目当てのスポーツのズボンを見つけたものの、尚も引き出し周りの洋服は散らばったまま、のろのろと着替えているところだった。

『ここ片付けなあかんし、時間なくなるから急ぎ!食べる時間なくなったらママがラピュタパンもらうからな!』

と、イラつきながら脅しをかけて、彼を慌てさせた。

どう考えても適当にタンスに洋服を突っ込んできただろうというぐらい、すぐさま食卓に息子が現れた。小言は言わなかったもののイライラがついて回ってる私は、息子が食卓に着くと、荒っぽく自分のラピュタパンを手に取りかぶりついた。その瞬間、あまりも荒っぽくしすぎたのか、食パンの上の目玉焼き部分をするっとテーブルに落としてしまった。とっさに『ああっ!!!』と慌てた。平常時ならば些細な事だと思えただろうが、イライラしているうえでの出来事だったので、さらにイライラが増していくようだった。100%私の過失であるので当たり散らしてはいけないとイライラを必死で抑えようとしていると、朝ご飯を食べだしてすっかり機嫌がよくなっていた息子から

『ロゼール(4カ月前に行った息子の修学旅行先の町)で食べたステーキ、おいしかったよ。ママも食べたい?』

と、にこやかに話しかけられた。

あまりの脈絡のなさに、イライラが一瞬にしてなくなった。

(何故に今ステーキをすすめる???)

と、唖然としていると

『あ、ちゃんとポテトもついてたで。』

と、さらなる追加情報を教えてくれた。

テーブルの向かいで娘が必死に笑いをこらえていた。

さっきまで不機嫌全開だったくせに、今やご機嫌どころか私の機嫌まで変えてくれるとは…と、おかしな感動があった。

母『もうママ、この人(息子)に勝てる気せーへん。』

娘『まあ、無理よなー』

息子『???』

空気を読まずにほりこんでくる息子の文脈のない話のおかげで、私のイライラは一瞬で鎮火した上、笑うしかなかった。

 

息子は癒し系かもしれない。

 

 

 

 

 

ラピュタパン=宮崎駿監督のジブリ映画『天空の城ラピュタ』の中に出てくる食パンの上に目玉焼きをのせた食べ物