i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

大人ですが


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病は気からだと気にせずスルーを決め込みたかったのだが、まんまとインフルエンザ菌に侵食されてしまい、寝込む羽目となったこの数日。

ようやく、まともに回復したから朝から近所のマルシェへ行こうとするも、なんと初雪。久々のまともな外出と雪に思わずテンションがあがり、雪の中コートのフードをかぶりながらマルシェへと向かった。

いつもの魚屋さんへ行き、他のお客さんの列に並んだ。列を待ちながら私の黒いコートに積もってくる雪をバフッと払ったり、こっそり白い息を楽しんだりして順番がくるのを待った。雪のせいでか列と言えどもいつもよりお客さんも多くなく、魚屋さんのおじさんたちにも余裕がありそうな雰囲気だった。何人かのおじさんが久々に現れた私に『おー!元気かー!』と声をかけてくれ『元気ですよ。ありがとう!』と返事をした。すると、店のはしっこの方で背を向けてひたすらスモークサーモンをスライスしていたおじさんが、くるっとこちらにふりかえり、スライス用の長い包丁の先にサーモンをベロンとのせて私に向かってつきつけ

『ん。』

と言ってサーモンを一枚くれた。

びっくりしたものの、おお!ラッキー!と思い、お礼を言ってありがたく頂いた。雪の中、サーモンをもぐもぐ食べながら『なんて今日はいい日だ~』と呑気に自分の順番をまった。

魚屋さんで欲しかった魚を買ってから、銀行へも用事があったので銀行へと立ち寄った。受け付けの順番がきて、用件を伝えると

『その手続きは本当はここじゃやってないのよー。もう、しょうがないわねえ。今日だけよ。』

と言って銀行員のお姉さんが私の頼みをきいてくれた。日本で銀行員がこんな台詞言ったらシャレにならんだろうなと思いながらも、己もいい加減な性格なので、『なんてラッキー!ありがとう!』と、ありがたく手続きを完了してもらった。

お礼を言って銀行を後にしてから、マルシェにあるアクセサリー屋さんへと向かった。そこのマダムとはもう10年以上の付き合いで、今日はかなり寒いだろうと思い、うちにあった日本のカイロを彼女に届けに行ったのだ。とても喜んでくれた彼女はお礼にと、持っていた手作りキャラメルを子供たちと食べろと言って私に持たせてくれようとした。いつも色々なプレゼントをうちの子にくれるので、お礼は要らないと断ると、

『こんなにキャラメルを食べたら太りすぎるから、もらってちょうだい!』

といわれ、

『いやいや!わたしも太るから!いいよ!』

と言ったのだが、

『いや!私のほうがひどいことになる!』

とまで言われてしまい、結局有り難く頂いた。ふと気づくと、我々のやり取りを見ていた隣のアラブ系のお惣菜屋さんのおじさんたちや、アクセサリーを見ていたお客さん達が微笑ましそうにこちらを見ていた。マダムにお礼とお別れを言ってうちへと戻った。

 

魚屋さんでサーモンもらって、

銀行で『しょうがないわね。』と言われ、

アクセサリー屋さんでキャラメルをもらった朝。

なんだか子供のお使いのような朝だった気がする。