i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

続く余波

小学生の頃、給食にでてくるコッペパンを食べ残し、教科書やノートと同じように学校の自分の机の中にしまったことのある人は、どれくらいいいるのだろう。さらに言うなら、コッペパンをしまった後、すっかり忘れて数日放置してしまい、机の中からカビの生えた元コッペパンを発掘するに至った人はどのくらいいるのだろうか。仮に元コッペパンを製造したことはなくとも、目にしたことがある人間はかなりいるとは思う。

 

連日の慌ただしさが落ち着き、今日からはかなり穏やかな日が続く予定だったのだが、起き抜けからとても気分が悪く、どうにもこうにもテンションが上げられない鬱々とした一日となってしまった。

散らかった部屋を片付けたり、放置していた乾ききった洗濯物をたたんだり、荒れていた食生活を正すべくきちんと栄養を考えた夕食を作ったり、今週の予定と今月の予定を書いたりと、何かとすべきことが沢山あったので、今日は一日それらを全てやってしまおうと思っていたのだが、朝のローテンションからぬけるにぬけれず、結局、息子を学校に迎えにいく夕方まで、かろうじて最小限の家事しかせずに過ごしてしまったのだ。

息子を迎えにいった帰りに近所のスーパーによって夕食の買い物をしていこうと、愛用している大きな買い物鞄を手に取り家を出た。学校から出てきた息子に、帰りにスーパーに寄りたいと伝えた。道すがら、鞄に財布が入っていたかが気になりだし、鞄の外側を手で掴み、財布らしき塊が入っていそうか確かめようとした。右肩にかけられた大きな布鞄を右手でガスガスと掴むと、若干ムニュッとした明らかに財布ではない、全く覚えのない触感が鞄の中にあった。

『???ん?』

と思い、大きな鞄を広げ中を確かめた。

鞄の中には財布とエノキ茸があった。

『ごめん、待って。一回帰ろ。』

息子にこう伝え、進路をスーパーから自宅へと変えた。

どうやら一昨日買ったエノキ茸を、いつかの牛乳かのように鞄に入れたまま抜き取るのを忘れていたのだ。未開封の食料品をもったままスーパーに入るのも気がひけ、一旦家に置きにいこうと思ったのだ。息子に事情を話すと、笑いはするものの気分よく

『いいよー。じゃあ、一回帰ろう。』と快諾してくれた。

ここに娘がいたならば、何を言われたかわかったもんじゃなかったと、私は内心とても安堵していた。

自宅前についたところで、郵便受けに目がいった。

『やっぱり、家に戻らんでいいよ。ここに入れとく。』

と、息子に言った。

我が家の住む部屋はエレベーターのないマンションの5階にあるため、エノキ茸ひとつに上まで上がりたくはないと思い、郵便受けに今の間だけ入れておこうと思いついたのだ。

『そっか。それでいいやん。』

と息子が母の名案に賛同した。

郵便受けにエノキ茸をいれる前に、またしても今日の裏日記も自虐日記になるのか…と思いながらも自身に呆れつつ折角だからとエノキ茸の写真を撮った。f:id:i-chi-tora:20190115094437j:image

ついさっきまでの私の認識では、ここまでが今日の日記となるはずだった。積み重なるオーバーワークは予想以上に日常をもち崩す上、思った以上に余波が続くようだというお話になるはずだったのだ。

しかし、朝から気の抜けている頭をシャキッとさせ、いざ日記を書こうと携帯を手にして疑問が沸いた。

『今、エノキ茸はどこだ?』

と。

 

答えは簡単。

エノキ茸は郵便受けである。

夕方の買い物から戻り、郵便受けから抜き取るのを忘れたのだ。連日の多忙のせいで、買い物カバンにて放置されたエノキ茸は、冷蔵庫に入ることなく今度は郵便受けに放置されているのである。幸いにも外気温5度ほどしかない上に、そのエノキ茸は密封状態であったはずなので品質に問題はないだろうとは思う。

しかし、細長く暗い空間に手紙などの郵便物と共に押し込められた透明の袋に入っているエノキ茸を想像すると、学校の机の奥に入っていそうな給食のコッペパンを思い出す。あんな風にカビさせるわけにもいかないので、いまから救出に向かうとする。

深夜に一人、郵便受けからエノキ茸を取り出す母。

我ながら怪しすぎである。

 

 

 

余談 :【星の王子さま】というフランスの童話の中で、『忙しい忙しい…』と連呼する学者に対して王子さまが

『忙しい忙しいばかり言ってる人は、人じゃなくてもうキノコだ!』

と吐き捨てるシーンがあったのを思い出した。

私はキノコを忘れただけですけども…