ツンデレ
11月の中頃になるとフランスでは、この時期限定の特殊なクリスマスグッズが店頭に並びだす。
『Calandrier de l'Avant : キャランドリエ ドゥ ラヴォン
=直訳:直前カレンダー』
である。
カレンダーはカレンダーでも書かれている数字は1から24までしかなく、大きなパッケージにランダムに書かれているそれらの数字の周りには3センチ四方ぐらいに切り取り線がついていて、その部分をペリッとめくると中からチョコやお菓子がでてくるのだ。12月に入ると同時に1日から日めくりカレンダーのように一日毎にその日の日付けの部分をめくり、中のおやつを楽しみ、クリスマスまでの日々をわくわくしながらカウントダウンしていこうとゆう代物だ。
100%お菓子メーカーの作り出した偽の伝統グッズだとは思うのだが、11月も末になると、この直前カレンダーがボジョレヌーボーも顔負けなぐらい、どのスーパーにおいても入り口付近の一等地とされる陳列棚を占拠する。値段も種類もメーカーもそれこそ多種多様で、これらが並びだすと『ああ、もうすぐクリスマスかあ』とすら思えてくる。
そんなワクワク感をアップさせるグッズにうちの娘&息子が食いつかないはずもなく、ついに先日、『二つ購入すると一つ分は半額!』というお買い得セールになっていたちょっと高めのチョコカレンダーを
『年に一回やん!』とか
『やすくなってるやん!!』とか
『今日買わんかったら、もう12月になってしまうで!!』とか
『12月になったらなくなるかも!!!』
といった娘&息子の営業トーク×2に負けてしまい、まんまと買わされてしまったのだ。それからとゆうもの12月に入ってから、毎日1個のちょっといいチョコを確約されたヤツらは、内心うらやましくて仕方がなかった母を後目に、ここ数日間を楽しんでいた。
昨日のわたしは、子供たちが学校に行った後はゆっくりできるかと思っていたにも関わらず、朝から次から次へと厄介事が舞い込んできてしまい雑務に追われ、うっかり昼ご飯を食べ損ねてしまっていた。あれよあれよと時間が経ち、気づけば子供たちが帰ってくる時間となり、昼ご飯を食べずして子供たちと夕方のおやつタイムとなったのだ。いつもなら、おやつに何があるかと三人でおやつの内容を決めるのだが、カレンダーチョコのある娘&息子は母の空腹なんぞいざ知らず、二人で『今日のチョコは何味かなー』と、楽しげに盛り上がっていた。お腹がすいてしょうがない母は、大人げなさがピークに達し、1日に1つしかないチョコカレンダーがだんだん恨めしくなっていき、(万一落とした時用とか、友達にあげる用とか、そんないざって時用に補欠チョコがあったらよかったのに!何故に1日一個だけ!!?)などと、世の理不尽なクレーマーと呼ばれる方々かのように、わけのわからないすね方を始めていた。しかし、それでもやはり大人だからと我慢して、一人違うおやつを物色しだした。ふと盛り上がっている二人を見ると、娘と目が合い
『え。あげへんで。』
と、母の心など透けて見えてると言わんばかりに、ドストレートに娘にいい放たれた。
『わかってるよ!!』
と強がる母。
(くそぉ)と思いながら、娘の方を見ずに、おやつの入った引き出しを漁っているとなんと日本酒ボンボンなるチョコの箱が引き出しの奥からでてきたのだ!(そういや、こんなのがあった!)といそいそパッケージを開けようと箱の裏をみると『賞味期限2017年11月』となっていた。あまりのショックに母、凍結。しばらく固まったものの、ショックが溶けるころには、先程の大人げなさが再来し、(明日には自分用にもチョコを買いにいってやる!)と誓っていた。そんな母を横目でみていたのか、
娘『明日の分はママにあげるよ❤️』
と言ってくれた。
クリスマス直前
これがツンデレかと
娘の優しさを感じた。
それでも母は明日チョコを買いにいきますけどね。