i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

"王様の耳はロバの耳"よろしく、徒然なるままに憎らしくも可愛い娘&息子の愚行を愛をもって暴露していくことを中心とする裏日記

さよなら三が日

ついに三が日が終わってしまった…。

 

年末にお節作りを頑張ったお陰で、これ以上はないというくらいグータラなお正月を過ごせた。

元旦、ひどい鼻声のまま新年の挨拶をと思い、近所に住む友人宅へ電話をすると、鼻声鼻水なんのその、急遽新年会をすることになった。お昼過ぎから友人一家がおつまみとシャンパンを手土産にもってきてくれ、こちらは作りあげていたお節をならべ、さらに楽しみにしていた大吟醸をあけ、さらにさらに以前に友人からお土産で貰っていてとっておいたビン詰めの蟹味噌をあけ、これ以上はないと言えるくらいご馳走の並んだテーブルで、夜遅くなるまでくだらない話をして笑い合いながら年に一度しかない特別な宴会を楽しんだ。

2日、引き続きお昼ご飯にお節と日本酒を飲みご機嫌ななか、元旦の突発的新年会のせいで連絡を入れれてなかった家族や友人に、子供たちと携帯電話からメッセージを送ったり電話をしたりして新年の挨拶を伝えた。日本にいてるとするならば、携帯ではなく直接、親戚や友人知人に挨拶回りをしている頃かと想像しながら、こんな離れた所に居ながらにして、ここまで広い範囲へ年始の挨拶が簡単にできる今の時代の便利さに感動した。

3日、朝の8時前からLINEが連発して鳴り出した。薄々と予感はあったのだが、ここまで早くから鳴るとは思っていなかったので、布団でダラダラと半眠りながらLINEを開いた。

その日は、学生時代からの付き合いの友人たちが集まって新年会を開くことになっていたのだ。その友人達は、かつてスマホのない時代に『待ち合わせ(現地デリーにて)から始めるインド旅行』という、わりとデンジャーな旅行を共にした、フットワークの軽さとほどよい阿呆さを兼ね備えたメンバーで、今回の新年会も、全員近くに住んでいないにもかかわらず私以外が全員集まることとなっていた。

一人参加できない私を残念に思ってくれた彼らが、新年会をしながらことあるごとにLINEで写真を撮っては送ってくれたのだ。さらに久々の集まりに盛り上がっていた彼らはビデオ通話までしてくれた。こちらはまだ寝起きだったため、ビールで乾杯とはいかなかったのだが、グラスに紅茶を入れて携帯越しに乾杯をした。同じように新年会に参加している気分を味わえ、普段はうっとおしいとさえ思うことのある携帯に対し、心の底から感謝し、『ハイテク万歳!』と歓喜したのだった。

その日の夜、この3日間で一番気に入った海老の艶煮蟹味噌付けと日本酒を飲みながら、なんともグータラとした素晴らしく充実した三が日を過ごせたと、子供達と話したのだった。子供達も、普段はない日本のご馳走を食べたり、日本にいるおじいちゃんおばあちゃんや友達と話したり、また、ゲームやDVD、トランプ、ウノといった遊びを夜遅くまでひたすら楽しみ、正月万歳といった具合であった。

 

そんな三日間を過ごしてからの1月4日朝、三が日が終わり目が覚め起き上がると腰痛が勃発した。原因は明確だった。

三が日の間、私は先に綴った事以外、ほとんど何も動いていなかったのだ。食卓の椅子を定位置とし、家事も必要最小限に抑え、ご飯も作らず、買い物もいかず、というかこの3日一歩たりとも外に出ていなかったのだ。つい数日前まであっちへこっちへと動き回っていた身体が、3日間動かずグータラしすぎてだらけ切り、筋肉が落ちたのだ。明らかにお腹回りがやわらかくなった。そう、運動不足である。

片手に収まる超便利グッズ、携帯電話のおかげで動かずしてあらゆる人と連絡はとれたものの、まさかの弊害。便利だ楽だと、甘んじているといかんのだと、新年早々身をもって知る羽目となった。

 

再び待ったなしの日々が始まる。腰痛が悪化しないよう気を付けつつも、気合いを入れてがんばっていくとする。

 

よし、がんばるぞ。

 

 

賀正

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マスクをしながら鼻がズルズルくしゃみを連発、そんな風邪っぴき具合ながらお節料理の仕上げに台所をうろつく事となった大晦日。そんな母を止めても無駄だと諦めてYouTubeで娘&息子が“C'est pas sorcier !! セ パ ソルシエール”(意味 : 魔女ではない!!)というフランスの教育番組を見ていた。番組内容はタイトルとおり、子供が不思議に思っていそうなことや当たり前にあるものを、それは魔法や魔女がやったのではなく、これこれこうしてできてるんですよ、と一話ごとに題材を変えながら科学的に説明していってくれるといったものだ。フランスの子供たちにとってとてもポピュラーな番組で、うちの子供達も同じく好んでよく見ているのだ。



昨日は大晦日だと言うのにクリスマスのご馳走を題材としたその番組を見ていた娘&息子。毎年、大晦日は友人一家を夕食に我が家へ招待し一緒に年越しを楽しむのだが、先日からの風邪引きで今年はその年越し夕食会を急遽キャンセルした私に対する明らかなる当て付けであった。昨日の優しさも大晦日の夕食会を計算にいれてだろうよと、我が子達の強かさにやさぐれながら、YouTubeから聞こえてくるナレーションのフランス語を聞いたままペラペラとジェスチャー付きで真似をして娘&息子の邪魔をしてみた。すると娘に、

『フッ。意味(フランス語の)わかってへんくせに。』

と笑われたのだ!

あったまきた母は、

『ママは1月半ばから暇になるから、時間できるしな!勉強ちゃんとできるしっ!!だから、すぐに賢くなりますー!』

と返してやった。すると、娘の横で同じくYouTubeを見ていた息子が娘にこそこそっと耳うちした。

息子『僕はママ絶対勉強せーへんと思う…』

マ(私)『きこえとるわっっっ!!!』

息子の耳うちは、いつもいつも丸聞こえなのだ。

娘『あははははは!!私もそう思うわっ!!

マ『!!』(ノ-_-)ノ~┻━┻



12才と10才からのこの嘗められように、絶対に勉強してやる!!この二人よりっ!!と嘗められてなるものかと、母は心に誓った。そう、これが私の大晦日に強く思えた今年の抱負である。

子供達からの嘗められように憤慨するも、子供のポテンシャルの高さは侮れないとも自覚している。スポンジの用な吸収率の脳を持っている子供達との戦いは、こんな固まった頭ではかなり難易度が高いはずだ。しかし、このままでは母株は下落の一方間違いなし。子供達との戦いという低レベルにして高難易度な我が抱負、果たして上手くいくものか。

一年の計は元旦にあり。

元旦に計したということで、ご利益があると信じようと思う。



皆様、明けましておめでとうございます。

今年もどうぞ宜しくお願いします。

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今週のお題「2019年の抱負」

風邪っぴき

今年最後の日記をこんな状態で書く羽目になるとは思わなかった。

 

とりあえず今日という日は起き抜けの喉の痛みからスタートした。そこから頭が重くなり、鼻の奥も痛くなり、徐々に息苦しくなっていき、さらにやたらとくしゃみが出て、鼻から上がボーとなり頭痛、悪寒まで………そう、風邪である。

 

お節料理を作ろうと材料を買い揃え作りだすやいなやのこの仕打ち。間が悪いにも程がある。そんなに2018年の日頃の行いが悪かったのかと考えてしまった。本当は一日寝て過ごしたかったのだが、冷蔵庫の大量のお節用食材達をほっておくわけにもいかず、と言うより、寒い中あちこちへと出歩いて食材を買い揃えたのに、今さら正月にお粥なんて真っ平ごめんだと、己を奮い立たせ一日フラフラしながらお節を作った。少し台所に立っては、『もう無理』と言いながら休む、また立ち上がって料理をし、ブツブツ言ってはまた休む、を繰り返した。休んでいると娘&息子が心配そうに何度も寄ってきては

『ゆっくりしいや』

『もうやめたら?』

『寝てたらいいやん』

等々、優しい言葉をかけてくれ、挙げ句に散らかってた部屋に掃除機までかけてくれたのだ。

朦朧とし若干つらい一日ではあったが、娘&息子のやさしさを感じられたいい年の瀬だった。

 

来年も愉快でステキな一年になりますように。

 

この拙い文章からなる日記を読んでくださってる皆様、今日までどうもありがとうございました。皆様にとっても愉快でステキな新年となられますように。

 


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毛布にくるまる一虎 より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憎まれ母さん、世に憚らん

早いものでこの裏日記を初めて2ヶ月が経過した。自称も他称も三日坊主といわれた私が2ヶ月もの間、たまに書かない日もあったとはいえ日記を書き続けてきたのだ。もはや、

『誰にも三日坊主とは言わすまじ。』

と、気分はふんぞり返っている。

しかし、あらゆる周りの人間にひた隠しにしている裏日記の継続具合を、誰かに自慢できるわけもなく、なるほど秘密裏にするとはこういうことかと、声を大にして自慢できない若干の残念さも否めない。

ここ数日、そんな少しの残念さと共に、ここまで継続出来たからこその弊害が発生したことがあった。

先日行われた友人達とのクリスマス会に、家族四人揃って出席したのだが、談笑が進む中なぜか話題がSNS関連となり、そしてさらにはブログの話しにまで発展。裏日記の存在を最もばらしてはならない主人と子供達までその場に居たため、これはまずいと困った私はひたすらに生返事を続け、ごまかし、すっとぼけ、ブログなんて知らぬ存ぜぬといった顔を貫き通したのだ。クリスマス会という楽しげな空気の中で談笑しつつ、胸中でアラートがなりながらもにこやかに嘘を突き通す自分の暗黒具合を感心する羽目になった。

 

さらに一昨日、娘が冷蔵庫から卵を取り出し

『This is an egg !!』

と、私に卵を見せつけ言ったのだが、私はその一言があまりの衝撃で思わず

『どこで見たぁ!!!?』

と口走ってしまったのだ。よもや、日記のピザの記事を読んだのでは!!?と瞬時に思ってしまった故だ。

娘は、

『はあ???えと、、、英語の授業とか?』

と、単純に習った英語を使おうと実践していただけった。母の言動が理解不能だという顔をしている娘に苦し紛れに

『何言ってるんやろな……ちょっと、やばいかな……寝てた…かな』

と言って誤魔化した。

普段からボケたおしているおかげでか、またママがおかしな事言ってる、といった感じで軽くスルーされた。うまく誤魔化せて安堵できたものの、そんなおかしな言い訳が通るくらいに母をおかしく思っているのかと問い詰めたくもなった。

面白がって始めたとはいえ、やはり隠し事を貫き通すにはそれなりの精神力がいるのだと実感したのだった。

 

しかし。しかしだ。だからといって、ここで心が折れるほどの真っ当さを生憎と私は持ち合わせておらず、むしろここまでくると中途半端で終わるものかと意志がさらに強く黒くなってきている。

元々、この裏日記は書きためていき、ゆくゆくはサイン入り書籍にして我が娘&息子と主人に、

『実は日常を世間に公表してました。』

と言いながら渡してやるという計画なのだ。スタートから真っ当ではないのだから、今さら真っ当ぶる気はさらさらない。毒を食らわば骨までだ。

 

2018年も残り後2日となるも、我ながらなんと爽やかさに欠ける日記だろうか。

こんな暗黒な日記でいいのかとも思うのだが(気持ち程度)、これがまた楽しくやめられないのも事実。

次は3ヶ月目を目指して書き続けていこうと思う。

とにもかくにも、ばれるようなヘマをせぬよう、

気を付けまする。

 

 

 

参照 :

サムの有名なピザ - i-chi-tora’s ura-diary 一虎裏日記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、愛しのお節

お節が食べたい。

この数週間、ひたすらこの事について悩んでいる。

 

私が実家で暮らしていた頃、姉と両親と祖母の五人で暮らしていて、大体は祖母か母が家事をしてくれていた。しかし、毎年お正月になると父の弟達二人が家族を引き連れやってくるため、我が家の年末の台所は常に母と祖母が世話しなく動き、時には父や私たち姉妹まで手伝いに駆り出され、正月にやってくる大人数の新年会に備えての多種多量のお節がどんどこ作られていたのだ。和室の大きなテーブルに乗り切らない程のお重や大皿が並べられていくなか、隙を見ては誰もいなくなった和室で愛犬とつまみ食いをしたりもした。新年になり三が日の間、それらのご馳走を親戚や家族で好きなように飲みながら食べつくしていったのだった。

そんな風に育った私にとって、お節は年に一度しか食べれない超特別なご馳走なのだ。まして、実家を出て自炊する身にとって、あの手間のかかった多種多量の料理を一度の食事で食べれる事のなんと幸せなることか。さらに言うなら、あんなに日本酒に合う料理は他にはない。新年に日本酒をいただく風習を作った人を讃えるべきだとさえ思える。

渡仏してから10数年経てど、未だ変わらぬこのお節愛。しかし、ここは実家でもなく、まして日本でもないフランス。祖母もいなければ母もいない、戦力は私一人。食材も限られたものしかなく、出来合いのものもさほど無く、あっても美味しくない。最近は日本料理のレストラン等でお節料理の販売をしているところもあるのだが、ほんの少しの種類と量でバカみたいに高い。そんなに余裕のある暮らしをしてるわけでもなく、なにより内容と価値が合わないものにいくら楽だとわかっていても手を出す気にはなれないのだ。そんな思いから毎年、葛藤の末に私はお節を一人で作っているのだ。

食べる事と遊ぶ事には全力投球をする私。

『泣かぬなら 自ら泣きます ホトトギス

例えるなら、こんな具合だ。

栗きんとんの栗を甘露煮にするところから作り、伊達巻を白身魚をするところから作り、飾り用に葉付きミカンの葉を洗いアルコールで消毒してから料理の飾りに使ったりと、どーーーーしても食べたいという一心で、出来うる限りの方法を駆使してお節料理を作っているのだ。

しかしだ。どーーーーしても食べたかろうと、毎年作っていようと、やはり面倒くさいのは面倒くさい。行けば楽しいのはわかっているが家から出るのが面倒でしょうがない学校のような感じだろうか。いや、学校なら気合いさえあれば数分で家から出られる。お節料理はそうはいかない。お節はかなり手をぬいても食材の買い物も入れると2~3日かかる。ただし、そのかわりに三が日は料理をせずとも許されるという免罪符が漏れなくついてくるといった感じだ。

この労力と免罪符の兼ね合いが毎年わたしを悩ませるのだ。しかし、今まさにこの日記でお節愛について綴り、今年も明日からお節料理にとりかかろうと決心がついた。今年はサンタのくれた大吟醸もあることだし、この数日、やはりがんばるとしよう。

 

善は急げ。

早速何を作るか考えるとする。

 

祝辞

私には姉がいる。

小さい頃から対極のような存在。色白美人に品行方正に見えるお嬢さんキャラの彼女は、何から何までもが私と似ていない。

『白い方と黒い方』 

という一言で説明がつくくらい、一見すると違い、二人は全く気が合わなそうに見えるだろう。

しかし、私と姉は仲がいい。

というより、私が彼女を好きなのだ。

理由は色々あるのだが、一言ではいいきれない。対極だろうと似てなかろうと嫌いになることはないだろう。

 

たとえ、私が昼御飯を食べた直後だと説明したにもかかわらず、姉がマスターしたての得意料理をきっちり一人前つくり、『ハイ。』と笑顔で食べろと出してくるくらい人の話を聞いてなかろうと、

 

ピタサンドが美味しい!と言い出し、自宅にてピタサンド生地作りに没頭し、夕食後にデザートよろしくハンバーガー的食べ物を家族全員に出してくるような無茶振りをしようと、

 

試験期間中に勉強している私に、姉がひたすら横で話しかけてきたあげくに、蚊に刺されて痒いから掻いてくれとあり得ないくらいの暴君っぷりをだしてこようと、

 

姉が英会話にはまり、毎日何度となく携帯に電話をかけてきては無理矢理英会話をやらされ、限界を感じ彼女の携帯を着信拒否設定にした経験があろうと、

 

私と愛犬が部屋でくつろいでいる時に姉がドアを開けて入ってきた瞬間、彼女に愛犬が吠えてかかり、ムカついた彼女は仕返しに愛犬の大切にしていたぬいぐるみをクローゼットに隠してしまうぐらい大人げなかろうと、

 

姉の結婚式前日にマイコプラズマ肺炎となり、なんとか回復せねばと思いながらも布団で死にかけていた私のところへやってきて、翌日の自身の結婚スピーチの添削をやってくれと頼み、ちゃっかり自分の原稿をしあげたくせに、その結婚式の披露宴にて、スピーチはしないと断っていた半病人の私にまでスピーチのマイクをアドリブでまわしてくるような暴挙にでようと、

 

それでも、

村上春樹氏の小説『騎士団長殺し』を、

『騎士団(きしだん)、長殺し(ながごろし)!』

と思っていたり、

道路標識を確認せず交通違反をきられた旦那さんに向かって、

『表札ちゃんとみな!』

『表札!!表札!!』

と根本的に間違ってたり、

うちの息子に魔法石(携帯ゲームの重要アイテム)を勝手に使われて、本気でしばらく凹みまくっていたりする、

そんな彼女は私にとっては最高の姉なのだ。

願わくば、うちの娘&息子も私達のように仲のいい姉弟となりますように。

 

ハッピーバースデーディア  姉上

そして、

ハッピーバースデーディア  兄上

二人ともへ、おめでとう。

 

夫婦お揃いの誕生日の今日

めでたいので、姉について綴ってみた。

 

いやはや、いとめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスの反省


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クリスマスの朝、ツリーの横で木箱に入ったプレゼントを見ながら喜んでいると、すぐ横にいた子供達が何やらもめだした。

息子『そっちのほうがいい!!ゼルダ(スイッチのソフト)は嫌や!コントローラーのほうがいい!!ゼルダは嫌だ!絶対コントローラー!!』

娘『はあ!?なにそれ?そんなんずるいわ!!じゃあ、私もコントローラー!!』

との主張が続いた。

プレゼントに宛名を書いていなかったが為に、どちらのプレゼントがいいと折り合いがつかず喧嘩が勃発してしまったのだ。宛名が書かれていないなら二人で仲良くどっちも使って遊んだらいいと説明するも、二人とも意固地になって聞き入れずクリスマスの朝だというのにギャーギャーと言い合う始末。いくら二人で使えと言っても聞かず、だんだんムカついてきて、

『仲良くしないなら、両方つかうな!!』

『クリスマスに怒ってるようなやつらにプレゼントはいらん!!!』

とぶちギレる母。密かに、それだと私もプレゼントの日本酒が貰えなくなるのだがと、己の言ってる矛盾に子供達が気づかないよう願いながらキレていたのだが、そんなことには気づかない我が子達。よしよし、と思いながら怖い顔を続けていると、半泣きになりながら黙って困っている息子をよそに、娘がついに逆ギレを始めた。

『じゃあ、もういいわ!!サンタさんのプレゼントなしでいいよ!!これ(プレゼント)、捨てたら!!?』

と私に向かって言い放った。このばちあたりがぁっ!!と思い、いよいよ本ギレの母。クリスマスの朝だというのに全開の母娘戦争が勃発、もはやどうしていいかわからない息子は蚊帳の外となった。母娘は言い合いで解決することなく険悪ムードへと突入した。

しかし、おかしなものでかつての敵は共通の敵ができるやいなや、味方へと様変わり。気付けば、母 vs 娘&息子。さらに、遅くに起きてきてプレゼントのワニ肉を見つけてご機嫌な主人が登場。そんな主人が子供達二人に、

『まあまあ。仲良くしたら2人で2つ使えるんやしさ。』

と軽く声をかけたことで、さらに素直になりだし不自然なまでに仲良くしだす娘&息子。普段はしないトランプを仲良く二人で始めたり、冗談を言い合っていた。暫くして、ほとぼりが冷めたかとチラチラとこちらにご機嫌伺いに絡んできたりする小さい策士達に、まだまだ甘いと言わんばかりに頑なに

『仲良くできるようになるまで、プレゼントは片付けておく。』

と、言い続ける母。

『わかってるよ~。』

と、そんなつもりじゃないですよ。という顔をしながらも、ジワジワとアピールを続け、接点となるスイッチの話を徐々に母へと振ってくる娘。さすがにせっかくのクリスマスに一日中キレているわけにもいかないと、徐々にこちらも緩和体制に入り、しばらくして母娘戦争は終了した。

 

戦争が終了すると家族四人でテレビの前に集まり、娘が新しいコントローラーを使い【ゼルダの伝説】のゲームをスタートさせた。どんなものかとワクワクしながらテレビ画面を見ていると私の横にいた息子が名探偵コナンの漫画を読みだした。やたらと顔に漫画を近づけている息子が気になり暫く観察していると、彼が漫画を読むために漫画を持っていないことが判明した。彼は漫画に隠れながらホラー映画を見るような眼差しをテレビ画面へとむけていた。

マ(私)『こわい?』

息子『うん。むり。』

テレビ画面では、ゲームの主人公がさわやかな草原を走っているだけだった。

息子『もうやめよ。むり。』

マ『いや、なにも怖くないで。ほら。走ってるだけで、敵もないで。』

息子『いや…でも…』

とひたすらにおびえる息子。

ついこの間、友達の家でもやってただろうに何故にここまで怖がるかと思いながら

『大丈夫やって。お化け出たりとかじゃないから。』

となだめながら、一緒にゲームを再び見だした。

【ゼルダの伝説】というゲームは一人の青年が草原や林をさまよったり崖を上ったり水中を泳いだりと色々なアクションをしながら、時折現れる敵を武器でやっつけたりして冒険をしていくゲームなのだが、最初のうちは敵も少なくそれほど難しい操作が要るわけでもない。しかしながら、そんなゲームでもゲーム初心者が操作していると、敵もいない場面だろうと、うっかり操作ミスをして主人公が足を滑らせて谷底へ落ちていってしまうといったことも起こる得るのだ。

昨日、まさにそんな風に娘が操作ミスをして主人公が崖から落ちて行ってしまったのだ。ゲームの主人公が崖から滑った瞬間

『うわあぁーーーー!!!』

と、落下に恐怖する声がテレビからではなく横にいた息子から発せられた。びっくりした残り三人は瞬時に息子を見てしまった。

『……あーーこわかった!』

と呟く息子。彼は完全にゲームの主人公に同化していたのだ。それからも主人公がダメージを食らったり落下したり岩に挟まったりするごとに息子から

『うわあぁぁぁ!』とか

『あああぁぁぁぁ!!』とか

『んーーーーーー!!!』とか

尋常じゃない悲鳴が発せられるので、そのたびに我々は息子を見ずにはいられなかった。

さすがに気の毒になり、そろそろ止めておこうと三人で協議の末、初日のゼルダの冒険を終了した。テレビの電源が切れるとおもむろに息子が

『できるだけゼルダはやらないでほしい。』

『もしも、夜中にママとパパがゼルダをしたいなら、絶対に音は切ってやってな。』

『あと、来年のクリスマスプレゼントはゼルダの入ってないスイッチ本体が欲しい…』

と懇願に来た。

よそ様のお宅ならまだしも、自宅のスイッチ本体がゼルダの世界に通じているのが許せないとのこと。

 

そこまでゼルダが嫌だったのか……

と、朝から戦争を起こした母娘はもう少し彼の話を聞くべきだったと反省した。

 

何とも大騒ぎな1日となったクリスマスだった。

 

 

気持ちを切り替え年末年始に挑むとしよう。